hatsutoki books vol.32 [WHITE MOUNTAIN]

2018.07.10

韓国の画家、Eom Yu JeongのZINE「WHITE MOUNTAIN」。 2013年春、アイスランドにアーティストレジデンスのプログラムで40日間滞在した間、 雪山やその場所に住む人達を描いた絵がおさめられています。

滞在のなかで、その小さな村に暮らす人々を描きはじめたものの、次第に人間よりもそびえ立つ雪山の存在に心を奪われたというEom Yu Jeong。前半はモノクロームのドローイングによるポートレイト、後半は刻々と表情を変える雪山のペインティングが並びます。

アイスランドの空気や山の静寂さ、人の素朴な暮らしが伝わってきそう。線画も、絵の具を使った面の描写もどちらも個性的で、うつくしいドローイングです。

また、彼女はアイスランドに滞在中、アニメーションも製作していました。北部にあるの小さな海沿いの町を結ぶただひとつのトンネルをモチーフにした作品。両側で起こる天気の劇的な変化を描いたアニメーションからは、静かに降りゆく雪や、大きく揺れる波が映って、土地の厳しい自然をも感じられます。

Tunnel from slowdream on Vimeo.

西脇は、連日続いていた雨もようやく上がって、日差しの強い日々がやってきました。そんななかでも、眺めているだけで、ひんやりと涼しい空気を感じられそうな一冊です。

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もし遠い宇宙の彼方に、大きな鏡があったら

2018.07.02

生まれて始めて天の川を見ました。兵庫の北、神鍋高原。時間が止まったかのようにすら思えるほど静かで、心地よい夜でした。夜空を見ていると、わからないことだらけの宇宙についての考えがふつふつと湧いてきました。宇宙の中で私達の地球は「天の川銀河」と呼ばれる銀河の端の方に位置しているそうです。この銀河は直径10万光年の広さを持ち、2000億個以上の恒星があります。その中の恒星の1つである太陽の周りを楕円軌道で回る惑星の1つが地球です。その夜、私は地球の重力に任せ、地べたに寝転がり、途方もなく大きな宇宙の何万年も前の光がやっと今地球に届いたところを目撃したのです。

子供の頃に、先生が、「星の光は何万年前、何億年も前の光でそれが今やっと地球に届いているんだ」という話をしたときに、とても驚いて関心しました。そしてその夜に、この不思議な事実について、ゆっくりと考えながら、こんなことを想像したことを覚えています。……もし遠い宇宙の彼方に、大きな鏡があったら、それを地球から望遠鏡見ると、昔の地球の姿が見えるのではないか。例えば鏡の位置が1万光年離れていたら、1万年前の地球の光が鏡に反射して1万年かけて帰ってくる。つまり2万年前の地球の姿が見えるはずだ……!と、こう考えたわけです。今思い出しても、いかにもそれらしい考察ではないですか。大人になった今でもつまらない反論しかできそうにありません、宇宙に関して知っていることは、あの頃とさして変わっていなかったようでした。

 


 

関東では観測史上最も早い梅雨明けだそうですね。すっかり暑くなりました。夏におすすめしたいウェアが揃っています。是非御覧ください。

 


[影織ワンピース(ネイビー)]

夜空の様な深いネイビーのワンピース。影織のテキスタイルは一見無地の様に見えますが、不思議な模様が浮かび上がります。


[ポプリンシャツ]

上品なハリ感のあるポプリンの生地で仕立てたシャツは、夏に心地よい素材です。少し肌寒い夜や冷房の効いた部屋で羽織るにも便利なシャツです。焦げ茶とネイビーに染めた2色の糸が混ざり、絶妙な奥行きのあるシャンブレーとなりました。

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[KIKKOU ピアス]
流れ星の様な細く繊細なラインが涼しげなKIKKOUのピアス。シンプルな夏の装いを華やかにしてくれます。

草花は生き生きと

2018.06.21

今日は夏至ですね。1年でもっとも日が長い日。とはいえ季節はすっかり梅雨。洗濯物も乾かないし、湿気も多く体も重たい……。なかなか気分も晴れませんが、山に紫陽花がすごく綺麗に力強く咲いているのを見つけました。物憂げな6月も草花にとっては、とても気持ち良い季節なのかもしれません。何しろ夜がもっとも短い季節でもあるのですから。山の緑も一段と深く、生き生きと前向きに夏を待っているようで、元気を分けてもらいました。

 


 

去年の今頃、雨がしとしとしと……と降り続き、人々も少し憂鬱気味。そんなときに雨粒が連なる様子をイメージして、梅雨を楽しくしてくれる生地をになれば、と柄を考えました。一年のものづくりの歳月を経て、形が与えられた布がオンラインストアに並びました。きっと梅雨を楽しくしてくれることと思います。是非御覧ください。

 

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[雨のチュニック ]

パリッとした生地で仕立てました。湿気の多い日本の夏でも心地よく着ることが出来ます。強い生地ですので、気にせず洗濯できる、というとこも合わせて今から夏にお勧めしたいシリーズです。


[雨のドビーハンカチ]

雨をポケットに。黄色く細い糸で入れたボーダーは光のラインを表しています。水玉に光があたり光る様子を生地にしました。

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[vent de moe/扇子(雨の次の日)]
キラキラと光るラメ糸が打ち込まれた白い生地に、花や葉のコラージュが手仕事で縫い付けられています。懐かしい記憶の風景がよみがえるvent de moe とハツトキのコラボレーションによる扇子です。

奥行き

2018.05.25

空の青、海の青、遠くの霞んだ景色の中に浮かぶ山の青。自然の中にある色は、時間や気温、湿度によって変化し、様々な光が混じり合い構成されています。美しい自然の色は、それがどこか遠く懐かしい記憶を蘇らせるからでしょうか、日々のふとした瞬間に目を奪われると身体の中までじんと染み渡る静かな感動があります。

先日、東京・青梅の壺草苑さんから本藍染のシャツやワンピースが染め上がり、到着しました。この藍染の色を見るといよいよ夏だなという気持ちになり、毎年わくわくしてしまいます。この色は青でも、ネイビーでもなく、「藍色」なのだと職人さんはいいます。完全に天然の染料のみで染められた色は、とても優しく自然の循環の中にあり、そして様々な色の層が重なる奥行きのある色なのです。

本藍染ワンピース

壺草苑さんの染めは、徳島で藍の葉から作られた天然染料を使います。染料はひと夏掛けて栽培され、手で摘まれ、秋から冬かけ発酵させ、およそ300日を費やし完成します。江戸時代から続く染料の技法ですが、何しろ、てまひま掛けて作られるこの染料は大変貴重で、染料を作る職人さん自体がもう日本に指折り数える程しかいらっしゃらないと聞きます。

どうかこの美しく、静かで、人の心を穏やかにしてくれる藍色が途切れないよう、私達も大切にものづくりに向き合い、この感動を誰かに伝えて行ければと願っています。

 

*壺草苑さんの染について、詳しい内容はこちらに記載されています。染にご興味の有る方は是非ご覧ください。
>>播州織・素材のものがたり No.3 “天然藍灰汁醗酵建藍染”

 

 


 

 

オンラインストアに藍染のシリーズが入荷しております。夏の涼やかな装いにお勧めです。

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[本藍染 雨のドビーオープンカラーシャツ]

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[本藍染 雨のドビー チュニック]

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[本藍染 雨のドビー ワンピース]

 

初夏の緑

2018.05.06

五月に入り、山が青々としてきました。上を見上げると背の高い木々が風にゆさゆさと揺れていて、葉音がとても心地よく感じました。同じ音でも、川や緑から聴こえる音ってなぜこんな心地よいのでしょうね。きっと人にとっては古くからの記憶で、ずっと聴きなれている音なのだからでしょうか。



目に映ると心地よく、やさしい印象をもつやわらかなグリーンのアイテムをご紹介。初夏にぴったりの色合いを、ぜひご覧くださいませ。

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初夏らしい、淡いグリーンのテキスタイル。
ツイルオーバーブラウス


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お花のパーツをかたどったkikkouジュエリー。
KIKKOU ピアス


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しなやかな触り心地の、影織のハンカチーフ
影織 ハンカチーフ

風の色

2018.04.17

ふと家の近くの県道脇で雑木林に目に止まりました。ついこの間まで、枯れた枝と霧が立ち込める白黒の林だった筈が、朝の柔らかい光を浴びて細やかで淡い色彩で彩られていました。夏の力強い色やコントラストとはまた違う春の穏やかな色でした。

春の朝、思わず暖かいととてもほっとします。日の光は暖かく、空気の冷たさはその破片をかすかに感じるくらいで、冬はもう殆ど追いやられてしまったのが分かります。そして甘い花の香りを乗せた風は淡いピンクやグリーンを私の記憶に残してくれました。木の枝からはついに若葉が飛び出してきて、山を淡い色で染めていっている様です。

 


 

花は咲いては枯れ、また違う花が咲き、季節がどんどん過ぎて行くのが分かります。もう四月も後半に差し掛かりすっかり春らしい陽気になりましたね。
春の風をモチーフにした素材の新作や、素敵なアクセサリーもお披露目しています。どうぞご覧ください。

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淡い春の風をモチーフにした色のテキスタイルです。
>>ツイルオーバーブラウス

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雌しべの様なフォルムのkikkouジュエリー。
>>KIKKOU ピアス

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雨をモチーフに、「ドビー」と呼ばれる技法を用いたテキスタイルのシリーズ。
>>雨ドビーチュニック

花と時間

2018.04.01

西脇では今週桜が満開です。すっかり春らしい気候になって、桜だけではなく家の庭や河川敷、近所の山では至る所で一斉に椿や雪柳、花桃など様々な花が咲き始めました。庭で良い形の枝を見つけては少しだけ切り、家の食卓や事務所の窓際に生けます。凄い速さで過ぎていく年度末の忙しい時期も、花の周りは不思議とゆっくりとした時間に包まれていて、早くなり過ぎている私達の時計を元に戻してくれるのです。

「生け花」と言うのも良く出来た言葉だなあと思いました。切ってしまうのだから、むしろ殺している筈なのに……。人の自分勝手な解釈なのかもしれませんが、切り花が水を得て綺麗に咲き私達を楽しませてくれるのを見ていると「生ける」という言葉の感覚が腑に落ちてくるのです。

 


 

ピンクの優しいカラーのアイテムが公開されています。春がいっそう楽しくなりそうです。是非ご覧ください。

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>>ランダムストライプシャツ

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>>[ONLINE限定]ダブルフェイススカーフ

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>>KIKKOU no.75 pair pierce

hatsutoki books vol.28 [ 世界をきちんとあじわうための本]

2018.01.19

今年最初にご紹介するのは、人類学者を中心メンバーとする「ホモ・サピエンスの道具研究会」という、ちょっと気になるリサーチ・グループ名の人々によって出版された一冊。

呼吸すること、その日の天気に合わせてぴったりの靴を選ぶこと、一日の予定を想像してカバンの中身を整えること、足跡を残すこと。あらゆる人が暮らしのなかであたりまえに行為している営みを研究の対象に、ありふれていてあまりに当然のことゆえに普段は気づかない世界の設定や、意味にこだわりすぎて時に取りこぼされてゆくその豊かさについて考察した一書です。

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わかっていたつもりの行為や景色への解像度を上げたり視点をズラすことで、生き生きと容貌を違える世界の味わい。それは、ものづくりにおいても共通する基本的であり、大切な姿勢。「こんなところにヒントがあったんだ」と感じる力に、水を与えて感性をみずみずしく潤してくれるような一冊です。学術的なアプローチをテーマにしながら、シンプルな行為やルーティンの延長のなかに事象を捉えて提示する、あざやかで心地よい気づきと学びがきっとあります。

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盛秋

2017.10.27

10月もそろそろ終わる頃。台風22号が来る前に、せっせと稲刈りをしている風景がここ数日見られました。稲がこうべを垂れて実る田んぼを見渡すと、本当に黄金色という色の名前がぴったりだと感じます。

この頃、目に写る景色と身に纏いたい色は、深いつながりがあるんだなとあらためて実感していました。秋になって金木犀が薫ると、深い緑の葉の色や橙色の花を想像したり、紅葉が深まれば、赤から茶色へのグラデーションを自然と頭に描いてしまうもの。見渡せば、街で人が着ている服や、店にならぶものたちも、自然の流れと同調しているように思えますが、よくよく考えると不思議です。なぜ環境に合わせて、ヒトは同じ色を纏いたいと思うのでしょう。そんな動物はほかにいないですし(そもそも、服を着るのも人間だけですが)、国や地域によって好まれる色がちがうということにも深く関係していそうです。

そして、面白いのは一概に、季節や身の回りの風景だけが身につけたい色と関わっているとは言い切れないというところ。それはその個性であったり、重ねる時間であったり、感情であったり、当然だけど人によってちがうものです。そして時とともに変化するものでもあります。

一日として同じ日がないように、ヒトも毎日纏いたい色がちがうのでしょう。一生の間で、できるだけいろんな色に触れてみたいものです。


hatsutokiのオンラインストアには今季のお洋服が揃っています。この秋冬にまといたい色をぜひ探してみてください。

>>ONLINE STORE 2017秋冬のページへ

台風一過の夕方

2017.07.06

台風が過ぎ去った後の透明な空気や、眩しい光が子供の頃の記憶にありました。雨が上がって日が出たら、嵐が過ぎた安堵感もあり、なぜか少しわくわくして晴れやかな気持ちで外に出たことを思い出しました。台風一過という言葉を知ったのはその後のことだったと思います。

先日の台風の後、夕方から街中が見渡せる近所の山へ向かいました。水を得た草木も心なしか生き生きしていて、アスファルトの水たまりや店のショーウィンドウの水滴にもきらきらと光が反射して、街中が日常とは少し違う光景。台風一過の空は、風や雨で空気中のチリが吹き飛ばされ、澄んだ景色が現れます。きっと美しい夕焼けが見れるのではと期待しながら山道の階段に腰掛けて雲を眺めながら日の入りを待ちました。