hatsutoki books vol.6 [ autoprogettazione? ]

2016.07.05

今回ご紹介するのは、デザイナーENZO MARIの著書で、1974年に発表した「autoprogettazione?」(訳:セルフデザイン)というプロジェクトを収録した一冊。紹介されているほぼすべての家具が1~2種類の部材しか使っておらず、のこぎりで直角に切って釘で打ち付けるだけで完成。ENZO MARIはイタリアの工業デザイナーですが、この本は彼の作品集ではなく、あくまでDIYができるように誰でも製作できる入門書になっています。

そうはいっても、まず見入ってしまうのが家具ひとつずつの造形の格好良さ。最低限の材料で提案されたかたちは、これぞ必要美なのだなと感じます。そのなかにも、彼の遊び心がひそんでいるようで「このかたちもいいけど、脚のかたちはこう変えてみても面白いだろう?」という声が、図面や完成図をみていると聞こえてきそうに思えます。

椅子や机がほしいとき、つい完成されたかたちから想像したり選びがちですが、そのアイテムで「何がしたいだろう」「誰と一緒に使おうか?」とより具体的に考えると、実はもっといろんな自由な形の家具を一人ひとり持ってもいいのではないかと思ってしまう、そんな一冊。この本を片手に、日曜大工をしてみると楽しいかもしれません。

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砥峰高原

2016.06.27

西脇市から車で90分ほどのところにある草原が広がる砥峰(とのみね)高原。写真は以前夏に訪れた際に撮ったものなのですが、山の上に広がる高原なので、ひんやりとした空気がとても気持ちよかった事を覚えています。この日は雲におおわれていて、すかっと景色が見えたわけではないのですが、グレーの雲が緑の草原を引き立てていた景色がとても印象に残っていました。

秋はすすきが広がる高原の景色は観光名所としても有名です。映画「ノルウェイの森」のロケ地になったことでも話題になりました。美しい高原の景色はどのシーズンに行ってもきっと楽しめると思います。夏の夜、流星群に合わせて行くと、すごい数の流れ星と天の川も見れるそうです。是非訪れて見てください。

hatsutoki books vol.5 [Storm Last Night]

2016.06.25

今回紹介するのは、写真家・津田直の[Storm Last Night]。彼の祖父がかつて住んでいたという家を探しに、わずかな手掛かりをもとにはじまった、アイルランドの地への旅がおさめられています。

自身の記憶を遡りつつ歩き回るなかで、先住民の残した聖跡や、無文字文化に生きた人々が築いた住居跡、人間がかつて暮らしていた島々へ辿り着きました。風景が信仰の対象であったという古代の人々にとっては、その土地がどんな意味を持っていたのだろうかと、人と自然の関わりを考えながらそれぞれの場所を巡っていたのだといいます。

彼の捉える写真は、場所を決定づけるたしかな何かが写されているわけではない、自然の景色がほとんどなのですが、その風景になぜか固有の力強さを感じます。土地の空気や魅力というのは、そこにかつて人が住まった記憶や生き物の気配のようなものが蓄積されることで作られるのかもしれないと思うと、日常や旅先での風景もどこか特別に感じそうです。

水の季節

2016.06.24

湿気に包まれて少し身体が重たいような。すっかり梅雨に入って雨が続いています。この季節になると、草木は一気に成長するようです。水々しい毎日は植物にとってはとても気持ちよいのでしょう。

ふと雲の切れ間から差し込む光は湿気で拡散して柔らかく、夏のそれとはやはり違います。同時に水気を含んだ草花がきらきらと輝くので、水の季節ならではの美しい世界が現れるのです。普段が薄暗い為か、余計にその一時の感動が大きいのかもしれません。

「梅雨は憂鬱」と思い込んでいたのですが、この土地に暮らす限りはそうでもないかもしれません。朝、すぅっと深呼吸した時の、少し冷たく潤った空気はとても新鮮で身体に染み渡るような感じがします。雨は草木にとっても人にとっても、生きる力のようなものを与えてくれるのかもしれないですね。

_murata

hatsutoki books vol.4[造形思考]

2016.06.20

「芸術の本質は、見えるものをそのまま再現するのではなく、見えるようにすることにある」。音や光や運動と造形の結びつきについて考えつづけた画家パウル・クレー。今回紹介するのは、彼が遺したメモを編纂したものです。彼の作品がどのような方法論に基づいて描かれているのか、その軌跡が記されています。

クレーは絵画表現における線、明暗の調子、色彩など、画面を構成する要素一つひとつをひも解き、それぞれが何を体現し得るのかを制作を通して研究を繰り返しました。白という色は黒の地があることで存在でき、黒という色も同じく、白地があるからこそ認識できるというように、たとえば紙に筆を立てることからそもそもの行為について絵画を考え、意味を与えて作品を作っていました。

いま自分たちが生きている世界というのは、いろんな経験や現象に溢れては過ぎ去っていきますが、その「混沌」から「秩序」を見つけて昇華させる作業こそが「芸術家の仕事」なのだとクレーは記していました。それは、わたしたちが日常のなかで、出会う風景や身の回りのものごとから、新しい発見やものづくりのアイデアを見つけるのと近しいことかもしれません。

hatsutoki books vol.3[Lartigue’s Riviera]

2016.06.13

アマチュア写真家ジャック=アンリ・ラルティーグの写真集。リヴィエラという、地中海沿岸のリゾート地でくつろぐ人々の夏のバカンス風景を捉えたものです。時間の紐がほどけたようにのびやかな生活は、地中海の夏の日射しが肌を照らす感触や、海から上がって風にあたる心地よさをふと想像してしまいます。

ラルティーグは多くの恋愛をし、3度の結婚をしました。この作品集にも当時の妻が写りこんでおり、彼女のふとした表情はとても女性らしく親密で、彼らの幸せな日々が伝わってきます。

彼は11才の頃に初めて訪れてからリヴィエラの地に魅了され生涯かけて足を運び、ゆたかな人々の暮らしを撮り続けていました。ページをめくるだけで地中海を優雅に旅しているような気分になる一冊です。

蛍の季節

2016.06.07

5月の後半から、6月の前半梅雨に入るまで、西脇では蛍が毎年沢山見られるのです。写真も市内のとある水路の一つなのですが数年前に見つけた隠れ蛍スポットなのです。家から徒歩3分、地元の人がちらほら見に来るくらいなのでとても静かです。

言葉もなくただぼうっとしていつまでも見ていられます。自然に身を任せるような時間はとても心地よく、忙しい時でも心をフラットな状態に戻してくれます。この景色を見るだけで西脇に来てよかったと思えるほど美しい夏の景色の一つなのです。

_murata

hatsutoki books vol.2[women’s work]

2016.05.26

今回紹介するのは[women’s work -textile art from bauhaus-]。1900年代前半、ドイツの造形学校「バウハウス」にある織物工房で活躍した、女性のしごとについて書かれています。

当時のドイツは戦争で多くの兵士を失ったために、女性がしごとを見つけ、自活していく必然性がありました。そんな時代のなか、入学を申し出た女性の多くが、絵画をはじめとした芸術分野へ関心を寄せたにも関わらず、なんとそのほとんどは無条件に織物工房へ入る以外の選択肢を与えられなかったのだそうです。

今から約100年前、ドイツでは女性がすでに社会的な自立に向かっていたことにもたくましさを感じますが、織物以外に選ぶ余地のなかった彼女たちが、それでもなお燃え尽きることのない探究心で、織りのうつくしさとその可能性を追い求めた作品には目を見張ってしまいます。今より生きていく道が限られた時代でも、いいものを生み出していこうとする姿はひたむきで潔く、すてきだなと感じる一冊です。

hatsutoki books vol.1[暮らしの手帖]

2016.05.19

本を読むことは、よく旅に例えられることがありますよね。読書を通して考えが整ったり、新しい価値観に出会ったり。ものづくりのヒントになることもしばしばあります。hatsutokiのスタッフが影響を受けた、お気に入りの本を今日から少しずつ紹介していきたいと思います。

一冊目は、昭和35年5月に発行された[暮らしの手帖]。京都の古本市で見つけました。 今から50年以上も前に出されたものですが、料理のレシピ、生活の知恵、解決したい悩み事はふしぎと今も、ごく身近に感じます。

編集者が自ら、「そもそも」思うことをとことん考え抜く記事は、日々工夫を重ねていくことで、ゆたかさに出会えることを教えてくれました。『いったい、よいふきんとは、どんなものなのか』。それは日々のちょっとした物事に過ぎないですが、たしかに日常のなかに存在すること。ささいな一つひとつが自分の暮らしとなって、生き方になっているんだとふと思ってしまいました。

オオデマリ

2016.05.17

家の前に植わっているオオデマリの木。毎年5月の初めに満開になるのが西脇生活の密かな楽しみの一つです。いつも不思議に思うのですが、本当に測ったように5月の連休の時に満開になるのです。もしカレンダーがなかったとしても、5月を正確に知らせてくれそうです。そして一週目の終わりには散ってしまいます。

山は、若葉色からすっかりと緑色に。夜、川沿いを通ったら少々フライイング気味のホタルも少し飛んでました。そして、もうすぐ田植えの季節、水が張られるとカエルが一斉に鳴き出すはずです。そうしたらいよいよ夏はすぐそこです。

_murata