夏のジンジャーエール

2018.07.18

西脇は夏バテしてしまいそうなほど、暑い日々が続いています。機屋さんに出向いても、まるでサウナ状態。こんな毎日がこれからまだ当分続くと思うと、気が遠くなってしまいそうです。

その一方、暑さを感じる分、冷たいものがおいしく感じる季節でもありますね。麦茶、アイスコーヒー、アイスクリーム……今日はメンバーが自家製の生姜のシロップ漬けを持ってきてくれて、それを炭酸水で割って飲みました。ごくごくと一気に飲み干してしまうほど、からだの先まで冷たくなったように美味しかったです。優しい味と、ピリッと締まるスパイスの風味、透明の水、すべてがとても夏らしくて、飲んだらとても元気になりました。今日は自家製ジンジャエールの作り方、紹介します。暑さに乾いたからだが一気にうるおいます。ぜひお試しください。

1.生姜を2ミリ程度に薄切りスライスする。

2.生姜と同じ重さの量の砂糖を準備。(優しくまろやかな三温糖がおすすめ。)

3.シナモン1本ほど、ホワイトペッパーとクローブ(粒状のものをそれぞれ10粒くらい適量)準備。
※辛口がお好みの方は、唐辛子もいれるといいそうです。

4.全部を小鍋にいれて、浸るくらいの水を入れて煮詰めること20分。ジンジャーシロップの完成!
(煮すぎるとスパイスの風味がとぶので要注意。)

5.シロップに炭酸水を注ぎ、ジンジャーエールの完成です。


オンラインストアではキッチン関連のアイテムが、今季から少しずつ増えています。


[キッチンクロス] \3,000+tax


[マグカップ] \1,600+tax


[ハーブティー](これも水出ししたら、おいしそうです。) \500+tax

しっかり食べて、しっかり飲んで、夏バテの体をこまめにいたわって下さいね。

vent de moe の扇子 (インタビュー)

2018.07.12

vent de moe(ヴァン・ドゥ・モエ)とhatsutokiのコラボレーションによる扇子のお取り扱いがスタートしています。扇子というプロダクトに着目した稀有なブランドvent de moeはどのように誕生したのか。そしてこの美しくて儚く、どこか懐かしい世界観はどのようにして作られたのか。 デザイナーの小林萌さんに5つの質問に答えていただきました。

◆なぜ扇子をデザインしようと思ったのですか?

小学生から続けている唯一の特技。それが手縫い・手刺繍・手作業です。 専門的な技術を持っているわけでもなく私にあるものは「動かせる手先」 それしかなかったのです。子を出産し、これからの仕事を人生をどうしていこうか。と考えた時、 私は「自分の棚卸し」をしました。そこで残ったこと、それが「手先」と「脚」。 脚を動かせばどこへでも行けて、行った先で専門的な知識を持っている方に お力を頂戴すればいい。そういうことを考えました。

わたしの最大の手先で、職人と共にプロダクトをつくりたい。しかも、まだ人々がみていない新しい景色を描きたい。たどり着いたところは「扇子」というちいさな舞台でした。その時、なにか空気を変えたくて、、と、近所の花屋に入りました。 そうしたらお店の方がこう接客してくれたんです。 「それは朝晩光の具合で閉じたり開いたり、こっちは少しロマンティックなレースの花弁みたいでしょ。ここの角度からみると頭を垂らした白鳥のようで。 この子は本当に長く愉しめるのよ」 私はそのとき、これだ!と胸に深く染み込んでくる確信的な何かがありました。vent de moeの扇子、それは各々に個性がある花のような存在になれたら。私たちの日々を応援してくれるような、鞄の中で踊り続ける「枯れない一輪の花」になることだと。

◆vent de moeで大切にしていることを教えてください。

「扇子」というちいさな舞台で、わたしはすべての商品を最大限の手作業で作ること。ちいさな花弁があしらわれた刺繍扇子のラインも、一枚一枚花弁を切り出して、その時の感覚で水玉の刺繍を加えたり、線画のようなステッチを加えたりして1点ものを多くつくりました。 ちいさなものがくっついている扇子をみて、「癒されます」とか「vent de moe が生まれてきてくれてありがとう」と、もったいないぐらいのお言葉をいただいて。でも、わたしができることはここなんだろうなと思いました。扇子って、言ってしまえば必需品では決してないのだけど、持ってもらうことによって、強くなったり、穏やかな気持ちになれたり。そんなパワーを放つプロダクトで在ることを大切にしています。

消費社会に振り回されそうな私たちは、消費したくないのに経済に消費しろと言われたり、さまざまな商品が溢れ変える日々にすっかり疲れている気もします。こんな強く言うのは大変おこがましいですが、vent de moe の扇子を持ってみたらみている風景が変わった。なんてところを目指したい。あとは、そのプロダクトを人々の生活に取り入れて頂ける価格を付けてあげること。それが私の使命だと思っています。生活の中に流れる風なのだから、かけ離れてはいけない。少し遠くに住んでいる友達に会いにいくために、我が子を送り出してあげる。そこまでしてあげたい母のような気持ちを持つことを大切にしています。あと、重要なことを忘れていました!はじめての取り組みも勇敢に!これが私のモットーです。

◆刺繍や図案、ブランドの世界観のインスピレーションはどこから来るのですか。

何もない田舎育ちが故に、周りに転がる実や草花、外壁の剥がれや、束ねて捨てられた庭木の枝も、私にはすべてがオブジェクトでした。そんな感覚が幼少期のからだに染み付いて今に至っているというか。気付いたら、その感覚は大人にならず、未だ私の身体のどこかに在り続けていて、脳みそにも染み込んでいるのか、そこから神経伝達で手先に命令が来ます。そんなイメージです(笑)。あと熱烈に影響をうけた、祖母の記憶ですね。杏の実はすっぱいとか、クルミの実は果実で包まれているとか。花の名前、ステッチの種類、月の周期、雲のよみ方、それらを教えてくれたのが祖母でした。今回作った扇子にも、この感覚に背中をおしてもらって沢山のモチーフを詰め込んでいます。

◆東京から松本に拠点を移し生活やものづくりにポジティブな変化があったか

隣の芝生は青い、、でも森や山がもっと青くて、夜は青さも混ざった深い紺色になるので周りを気にしなくなりました。つい住んでいる環境に見入ってしまうぐらいで、素晴らしい風が松本には吹いています。そのため、物質的に許す時間はとても集中して製作に臨めるようになりました。あとはとてもシンプルに、野菜が美味しかったり、アゲハチョウの羽化に立ち会ったり、雪どけの風がそよぐ夜が気持ちかったり、月にかかる雲のゆらぎを楽しんだりしています。この前なんて、家族が猿の親子に遭遇して写真をみせてもらったのですが、とっても笑いました。

あとは子育てをしながらこの仕事をしているのですが、子育てに対してもとてもポジティブになりました。ママは出張だけど、山や川が相手をしてくれたり、空も広いから包まれている気持ちになっているかな?私自身、東京での子育ては少し息詰ることもあったのですが、松本に移ってからはストレスが一気になくなりました。

◆今後の夢を教えてください。

私たちのすぐそばにある風。変化に伴って新しい風を起こしてくれたり、すうっと日常のあいだに風は流れています。山から降りてくる雪どけの風は夏の私たちの身体に染み渡る存在です。vent de moeの扇子も「ああ、また夏に会える」と人々に思い出してもらえるような、、夏にスイカがもうすぐ食べられるなあと、口の中がじわじわする感覚(笑)。そんな存在になることです。
切実な夢は、街中でvent de moeの扇子をつかっている人を見かけること! それと私自身の夢は、可愛らしいおばあさんになることかなあ。

 


ハツトキのテキスタイルを使ったコラボレーションの扇子。持っていれば、涼しげな夏を迎えられそうです。是非御覧くださいね。

 


[vent de moe/扇子(雨の次の日)]


[vent de moe/扇子(まっかな頬)]

それぞれの扇子に付けられたチャーミングな名前もとても素敵です。

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hatsutoki books vol.32 [WHITE MOUNTAIN]

2018.07.10

韓国の画家、Eom Yu JeongのZINE「WHITE MOUNTAIN」。 2013年春、アイスランドにアーティストレジデンスのプログラムで40日間滞在した間、 雪山やその場所に住む人達を描いた絵がおさめられています。

滞在のなかで、その小さな村に暮らす人々を描きはじめたものの、次第に人間よりもそびえ立つ雪山の存在に心を奪われたというEom Yu Jeong。前半はモノクロームのドローイングによるポートレイト、後半は刻々と表情を変える雪山のペインティングが並びます。

アイスランドの空気や山の静寂さ、人の素朴な暮らしが伝わってきそう。線画も、絵の具を使った面の描写もどちらも個性的で、うつくしいドローイングです。

また、彼女はアイスランドに滞在中、アニメーションも製作していました。北部にあるの小さな海沿いの町を結ぶただひとつのトンネルをモチーフにした作品。両側で起こる天気の劇的な変化を描いたアニメーションからは、静かに降りゆく雪や、大きく揺れる波が映って、土地の厳しい自然をも感じられます。

Tunnel from slowdream on Vimeo.

西脇は、連日続いていた雨もようやく上がって、日差しの強い日々がやってきました。そんななかでも、眺めているだけで、ひんやりと涼しい空気を感じられそうな一冊です。

instagram #hatsutokibooks

vent de moe の扇子

2018.07.06

自由でコンテンポラリーな扇子ブランド、vent de moe(ヴァン・ドゥ・モエ) とハツトキのコラボレーションによる扇子のお取り扱いが始まりました。vent de moeの扇子はすべて京都の職人の手によって一つ一つ作られ、デザイナーの手仕事によってプリントや刺繍、タッセルや金属、陶器の装飾などが施されて完成します。

vent de moeの扇子を初めて手に取って、ゆっくりと、少しドキドキしながら開いた時、何故かふと子供の頃の記憶が蘇って来ました。祖母の目を盗み、棚から扇子をこっそり取り出しては、遊んでいました。繊細な扇子を壊さないよう少し緊張しながら、開いたり閉じたり、少し扇いでみたり……。どこか儚く懐かしいあの和室のにおいに包まれた、いたずらな冒険の記憶です。

 

心の奥深くに埋もれていた、そしておそらくこの扇子に触れなければ思い出すこともなかっただろう、懐かしい記憶を思い起こさせてくれました。vent de moeの扇子にはそんな不思議な力があるようです。

 

次回のブログでは、そんな扇子がどのようにして生まれてくるのか。vent de moe のデザイナー小林萌さんへのインタビューを掲載します。ブランドの世界観や美意識がどのように作られているのか、東京から長野県へ移住して創作活動や日々の生活がどのように変化したのかなども。どうぞお楽しみに。


 

ハツトキのテキスタイルを使ったコラボレーションの扇子がオンラインストアに並びました。hatsutokiのテキスタイルから受けたインスピレーションを元に、vent de moeがブランドらしい解釈を加えて、扇子に仕立てていただきました。夏を楽しく過ごすのにとてもお勧めです。是非御覧ください。

 


[vent de moe/扇子(雨の次の日)]


[vent de moe/扇子(まっかな頬)]

それぞれの扇子に付けられたチャーミングな名前もとても素敵です。

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北欧の手仕事を感じる靴 [talla]が登場

2018.07.03

今季からフィンランドより届いた「Talla(タッラ)」の靴のお取り扱いが始まりました。白樺のソールで作られた、やさしい風合いが素敵です。年間通じて、サボとサンダルの2型のみを展開するtallaのアイテムの中で、hatsutokiではどんな装いにも合わせやすいグレーのカラーをセレクトしました。

ヘルシンキから車で1時間ほどのところにある小さな村に、伝統的な木底の靴を生産するメーカー「タッラ」はあります。家族で営まれている工房で、1986年から製造されています。シンプルでありながら、細部にまでこだわりが見られる、北欧らしいミニマルなデザイン。今もなお職人たちの手作業により、1足1足丁寧に作られています。

これが、靴底の原料となる白樺材。彼らは、フィンランドの伝統的な木製の靴「ウッドクロッグ」を国内で唯一生産しています。

tallaは「オーソぺディック」という整形外科の分野での治療から生まれたメソッドを取り入れて、靴のかたちをデザインしています。一つずつ手仕事で形を整えられたソールは、つま先と足のアーチにフィットする立体形状で足に心地良く、履くことで身体の調子も整っていく効果があるようです。


クロッグとサンダルにはどちらもやわらかい牛革が使われており、肌当たりがなめらか。カジュアルだけど、どこか上品。シーズン問わずに楽しめるシューズです。

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もし遠い宇宙の彼方に、大きな鏡があったら

2018.07.02

生まれて始めて天の川を見ました。兵庫の北、神鍋高原。時間が止まったかのようにすら思えるほど静かで、心地よい夜でした。夜空を見ていると、わからないことだらけの宇宙についての考えがふつふつと湧いてきました。宇宙の中で私達の地球は「天の川銀河」と呼ばれる銀河の端の方に位置しているそうです。この銀河は直径10万光年の広さを持ち、2000億個以上の恒星があります。その中の恒星の1つである太陽の周りを楕円軌道で回る惑星の1つが地球です。その夜、私は地球の重力に任せ、地べたに寝転がり、途方もなく大きな宇宙の何万年も前の光がやっと今地球に届いたところを目撃したのです。

子供の頃に、先生が、「星の光は何万年前、何億年も前の光でそれが今やっと地球に届いているんだ」という話をしたときに、とても驚いて関心しました。そしてその夜に、この不思議な事実について、ゆっくりと考えながら、こんなことを想像したことを覚えています。……もし遠い宇宙の彼方に、大きな鏡があったら、それを地球から望遠鏡見ると、昔の地球の姿が見えるのではないか。例えば鏡の位置が1万光年離れていたら、1万年前の地球の光が鏡に反射して1万年かけて帰ってくる。つまり2万年前の地球の姿が見えるはずだ……!と、こう考えたわけです。今思い出しても、いかにもそれらしい考察ではないですか。大人になった今でもつまらない反論しかできそうにありません、宇宙に関して知っていることは、あの頃とさして変わっていなかったようでした。

 


 

関東では観測史上最も早い梅雨明けだそうですね。すっかり暑くなりました。夏におすすめしたいウェアが揃っています。是非御覧ください。

 


[影織ワンピース(ネイビー)]

夜空の様な深いネイビーのワンピース。影織のテキスタイルは一見無地の様に見えますが、不思議な模様が浮かび上がります。


[ポプリンシャツ]

上品なハリ感のあるポプリンの生地で仕立てたシャツは、夏に心地よい素材です。少し肌寒い夜や冷房の効いた部屋で羽織るにも便利なシャツです。焦げ茶とネイビーに染めた2色の糸が混ざり、絶妙な奥行きのあるシャンブレーとなりました。

kikkou
[KIKKOU ピアス]
流れ星の様な細く繊細なラインが涼しげなKIKKOUのピアス。シンプルな夏の装いを華やかにしてくれます。

当たり前ではないこと

2018.06.28

hatsutokiのチームは、兵庫県外からそれぞれが集まって一緒に働いています。東京、神奈川、山口から……それぞれ色んな道を経て西脇に来ており、だからこそ感じるものというのも日々たしかにあるように思えます。

はじめの頃は「ふつうの平織りなのに、なんで難しいんだろう?」、「特別意匠的なデザインではないはずだけど、織りにくいのはなぜ……?」と、設計した生地について現場と相談しては返ってくる反応一つひとつに、驚きと戸惑いがありました。各工程の職人さんに会いに行き、不具合があれば直接聞きにいったりして、教えてもらうことでだんだんと少しずつ、これまでは知らなかった「作る」むずかしさを具体的に知れるようになってきました。(それでもまだまだ、ですが……。)

チェックやストライプのみならず、無地の織物でも播州で織られているものがたくさんあります。私たちの生活に実は身近にあるものが、安定した高い品質で作られ続けることを、関東にいるときは取るに足りない当たり前のもののように思っていました。しかし今は、どんな季節も、どんな気温でも毎回同じ色で染め上げることのむずかしさ、違う機械をもつ機屋さん同士で同じものを作るために注がれるコミュニケーションの大切さを西脇に来て、身に染みて感じます。縞模様だって、人の手で一本ずつ並べられているなんて、来るまで想像もできませんでした。

当たり前に思っていたものは、当たり前ではなかったんだ、ということをふとここ数日にあらためて思ったのでした。

hatsutokiの巾着ができました。

2018.06.26

今季オリジナルのテキスタイルで、hatsutokiの巾着がオンラインストアに登場しました。

ちょっとした旅行の時や、インナーバッグとして、夏は浴衣と合わせてもお使いいただけるような小ぶりのサイズです。柄は全部で6種類。ビビッドなイエローや、カットドビーが映える落ち着いたネイビーをはじめ、東京・青梅[壺草苑]で染め上げた本藍染の、美しい藍色の巾着も生まれました。

お出かけが楽しくなるような軽快なアイテムです。こちらはオンラインストア限定でのご紹介です。



[巾着 雨のドビー] 各¥3,500


[巾着 本藍染 ラメストライプ] ¥4,600


[巾着 本藍染 雨のドビー] 各¥5,400

草花は生き生きと

2018.06.21

今日は夏至ですね。1年でもっとも日が長い日。とはいえ季節はすっかり梅雨。洗濯物も乾かないし、湿気も多く体も重たい……。なかなか気分も晴れませんが、山に紫陽花がすごく綺麗に力強く咲いているのを見つけました。物憂げな6月も草花にとっては、とても気持ち良い季節なのかもしれません。何しろ夜がもっとも短い季節でもあるのですから。山の緑も一段と深く、生き生きと前向きに夏を待っているようで、元気を分けてもらいました。

 


 

去年の今頃、雨がしとしとしと……と降り続き、人々も少し憂鬱気味。そんなときに雨粒が連なる様子をイメージして、梅雨を楽しくしてくれる生地をになれば、と柄を考えました。一年のものづくりの歳月を経て、形が与えられた布がオンラインストアに並びました。きっと梅雨を楽しくしてくれることと思います。是非御覧ください。

 

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[雨のチュニック ]

パリッとした生地で仕立てました。湿気の多い日本の夏でも心地よく着ることが出来ます。強い生地ですので、気にせず洗濯できる、というとこも合わせて今から夏にお勧めしたいシリーズです。


[雨のドビーハンカチ]

雨をポケットに。黄色く細い糸で入れたボーダーは光のラインを表しています。水玉に光があたり光る様子を生地にしました。

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[vent de moe/扇子(雨の次の日)]
キラキラと光るラメ糸が打ち込まれた白い生地に、花や葉のコラージュが手仕事で縫い付けられています。懐かしい記憶の風景がよみがえるvent de moe とハツトキのコラボレーションによる扇子です。

hatsutoki books vol.31 [David Hockney photographe]

2018.06.19

今回ご紹介するのは、20世紀の現代美術を代表する一人、David Hockneyのポラロイドを集めた作品集。彼は1937年にイギリスで生まれて、63年にアメリカの西海岸へ拠点を移して、制作活動をしてきました。移り住んだ後の1960年代後半から1980年前半までに撮りためた、彼の日常と旅の道中をスケッチのように切り取った写真、そして、のちに高度に洗練されたキュビスムのテクニックを用いたような写真のコラージュ作品『CAMERAWORKS』が生まれるに至るまでのデイヴィッド・ホックニーの軌跡ともいえる作品です。

彼は、画家として長年に渡り活動を続けてきましたが、その中でもプールがモチーフとしてしばしば描かれていました。一人の男性が、プールで泳ぐ人物を見つめる絵。これが元になった、のちの彼の絵画作品がとても有名ですね。この写真の、プールサイドから視線を落とす男は実は彼の元恋人で、泳いでいるのはホックニー本人なのだそう。アメリカで彼に出会い、のちにホックニーは捨てられたも同然に別れたらしいのですが、それでも数年後、昔の恋人をとても象徴的に絵画に落とし込んで描いていました。彼が、どんな気持ちで、筆をとったのかとつい思いを巡らせてしまいます。

また、写真をつなぎ合わせて、二次元的な表現を変化させようとしたこの手法も、この頃から何気ない日常の風景を切り取った写真で行われていました。今でさえ、アナログでありながら、とても新鮮な手法に感じます。

西海岸の陽の光を彷彿とさせるような、鮮やかな色彩で描かれたポップアートが印象に強い彼の作品。しかし実は、その一つずつのピースは彼のとても日常的なことで、昔の記憶を、時には辛い過去の記録をも拾い上げて、時を経ながら自分の絵に昇華させる作風は、とても私的な日記のようで人間らしい行為に感じられます。