草花は生き生きと

2018.06.21

今日は夏至ですね。1年でもっとも日が長い日。とはいえ季節はすっかり梅雨。洗濯物も乾かないし、湿気も多く体も重たい……。なかなか気分も晴れませんが、山に紫陽花がすごく綺麗に力強く咲いているのを見つけました。物憂げな6月も草花にとっては、とても気持ち良い季節なのかもしれません。何しろ夜がもっとも短い季節でもあるのですから。山の緑も一段と深く、生き生きと前向きに夏を待っているようで、元気を分けてもらいました。

 


 

去年の今頃、雨がしとしとしと……と降り続き、人々も少し憂鬱気味。そんなときに雨粒が連なる様子をイメージして、梅雨を楽しくしてくれる生地をになれば、と柄を考えました。一年のものづくりの歳月を経て、形が与えられた布がオンラインストアに並びました。きっと梅雨を楽しくしてくれることと思います。是非御覧ください。

 

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[雨のチュニック ]

パリッとした生地で仕立てました。湿気の多い日本の夏でも心地よく着ることが出来ます。強い生地ですので、気にせず洗濯できる、というとこも合わせて今から夏にお勧めしたいシリーズです。


[雨のドビーハンカチ]

雨をポケットに。黄色く細い糸で入れたボーダーは光のラインを表しています。水玉に光があたり光る様子を生地にしました。

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[vent de moe/扇子(雨の次の日)]
キラキラと光るラメ糸が打ち込まれた白い生地に、花や葉のコラージュが手仕事で縫い付けられています。懐かしい記憶の風景がよみがえるvent de moe とハツトキのコラボレーションによる扇子です。

奥行き

2018.05.25

空の青、海の青、遠くの霞んだ景色の中に浮かぶ山の青。自然の中にある色は、時間や気温、湿度によって変化し、様々な光が混じり合い構成されています。美しい自然の色は、それがどこか遠く懐かしい記憶を蘇らせるからでしょうか、日々のふとした瞬間に目を奪われると身体の中までじんと染み渡る静かな感動があります。

先日、東京・青梅の壺草苑さんから本藍染のシャツやワンピースが染め上がり、到着しました。この藍染の色を見るといよいよ夏だなという気持ちになり、毎年わくわくしてしまいます。この色は青でも、ネイビーでもなく、「藍色」なのだと職人さんはいいます。完全に天然の染料のみで染められた色は、とても優しく自然の循環の中にあり、そして様々な色の層が重なる奥行きのある色なのです。

本藍染ワンピース

壺草苑さんの染めは、徳島で藍の葉から作られた天然染料を使います。染料はひと夏掛けて栽培され、手で摘まれ、秋から冬かけ発酵させ、およそ300日を費やし完成します。江戸時代から続く染料の技法ですが、何しろ、てまひま掛けて作られるこの染料は大変貴重で、染料を作る職人さん自体がもう日本に指折り数える程しかいらっしゃらないと聞きます。

どうかこの美しく、静かで、人の心を穏やかにしてくれる藍色が途切れないよう、私達も大切にものづくりに向き合い、この感動を誰かに伝えて行ければと願っています。

 

*壺草苑さんの染について、詳しい内容はこちらに記載されています。染にご興味の有る方は是非ご覧ください。
>>播州織・素材のものがたり No.3 “天然藍灰汁醗酵建藍染”

 

 


 

 

オンラインストアに藍染のシリーズが入荷しております。夏の涼やかな装いにお勧めです。

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[本藍染 雨のドビーオープンカラーシャツ]

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[本藍染 雨のドビー チュニック]

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[本藍染 雨のドビー ワンピース]

 

初夏の緑

2018.05.06

五月に入り、山が青々としてきました。上を見上げると背の高い木々が風にゆさゆさと揺れていて、葉音がとても心地よく感じました。同じ音でも、川や緑から聴こえる音ってなぜこんな心地よいのでしょうね。きっと人にとっては古くからの記憶で、ずっと聴きなれている音なのだからでしょうか。



目に映ると心地よく、やさしい印象をもつやわらかなグリーンのアイテムをご紹介。初夏にぴったりの色合いを、ぜひご覧くださいませ。

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初夏らしい、淡いグリーンのテキスタイル。
ツイルオーバーブラウス


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お花のパーツをかたどったkikkouジュエリー。
KIKKOU ピアス


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しなやかな触り心地の、影織のハンカチーフ
影織 ハンカチーフ

風の色

2018.04.17

ふと家の近くの県道脇で雑木林に目に止まりました。ついこの間まで、枯れた枝と霧が立ち込める白黒の林だった筈が、朝の柔らかい光を浴びて細やかで淡い色彩で彩られていました。夏の力強い色やコントラストとはまた違う春の穏やかな色でした。

春の朝、思わず暖かいととてもほっとします。日の光は暖かく、空気の冷たさはその破片をかすかに感じるくらいで、冬はもう殆ど追いやられてしまったのが分かります。そして甘い花の香りを乗せた風は淡いピンクやグリーンを私の記憶に残してくれました。木の枝からはついに若葉が飛び出してきて、山を淡い色で染めていっている様です。

 


 

花は咲いては枯れ、また違う花が咲き、季節がどんどん過ぎて行くのが分かります。もう四月も後半に差し掛かりすっかり春らしい陽気になりましたね。
春の風をモチーフにした素材の新作や、素敵なアクセサリーもお披露目しています。どうぞご覧ください。

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淡い春の風をモチーフにした色のテキスタイルです。
>>ツイルオーバーブラウス

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雌しべの様なフォルムのkikkouジュエリー。
>>KIKKOU ピアス

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雨をモチーフに、「ドビー」と呼ばれる技法を用いたテキスタイルのシリーズ。
>>雨ドビーチュニック

花と時間

2018.04.01

西脇では今週桜が満開です。すっかり春らしい気候になって、桜だけではなく家の庭や河川敷、近所の山では至る所で一斉に椿や雪柳、花桃など様々な花が咲き始めました。庭で良い形の枝を見つけては少しだけ切り、家の食卓や事務所の窓際に生けます。凄い速さで過ぎていく年度末の忙しい時期も、花の周りは不思議とゆっくりとした時間に包まれていて、早くなり過ぎている私達の時計を元に戻してくれるのです。

「生け花」と言うのも良く出来た言葉だなあと思いました。切ってしまうのだから、むしろ殺している筈なのに……。人の自分勝手な解釈なのかもしれませんが、切り花が水を得て綺麗に咲き私達を楽しませてくれるのを見ていると「生ける」という言葉の感覚が腑に落ちてくるのです。

 


 

ピンクの優しいカラーのアイテムが公開されています。春がいっそう楽しくなりそうです。是非ご覧ください。

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>>ランダムストライプシャツ

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>>[ONLINE限定]ダブルフェイススカーフ

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>>KIKKOU no.75 pair pierce

有松絞り

2018.02.21

先日、愛知県の有松へ行きました。東海道の通り道であるこの町は、かつて茶屋町として栄えた時の趣が今も感じられるような美しい家並みが続くところでした。家々の軒先には「ありまつ」の文字。よく見ると、絞りがほどこされて染められたものです。

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この地は江戸時代の初期から絞りの産地として栄えてきました。旅人が故郷への土産にと絞りの手拭、浴衣などを買い求め、これが街道一の名産物となったのです。人の手で行われる独特の染め具合が美しい絞りは、今も職人さんによって受け継がれています。上にある、斑点模様のようなものが写った写真は、絞りをどこにほどこしていくか目印を付けた「絵刷り」をされた状態のもの。この絵のための型作りから、昔から職人さんが一つずつの点を手で打って作っていました。

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それを次に、一つずつ手作業で絞っていきます。私の祖母は愛知の生まれなのですが、実は幼い頃にこの仕事をしていたのだそうです。それを知ったのは、本当につい最近でした。生活に必要なお金を稼ぐために、祖母のほかにも十歳前後の女の子や、お年寄りの女性がみんなでこの絞りの作業をして働いていたのだそうです。この時、現場にいらして技を見せてくださった方も、この道50年以上の方でした。

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絞りというと、表の括られた状態はよくみますが、これは裏側。絞られた表情も美しく感じます。この状態のものを染液に浸けて、生地を染めていきます。最後に、括られた部分を解くことで染め分けられた部分が出てきて、きれいな模様が現れるのです。

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伝統の絞り技法は100種類にも及ぶのだそうで、ここ有松とお隣の鳴海では日本の生産量の90%以上を占めています。今もなお多様な種類の手法が職人さんによって編み出されています。一つひとつの模様の偶発性と高い技術から生まれた、独特の染め上がりに思わず息を飲んでしまいました。そして西脇と同様、有松の産地でも若いデザイナーたちが古くからの技術を今に伝えようとものづくりをして暮らしていました。新鮮な視点からアイデアを生み、時代の流れに沿ったデザインをすることで、自分たちもものづくりをしていきたいとあらためて感じました。

hatsutoki books vol.28 [ 世界をきちんとあじわうための本]

2018.01.19

今年最初にご紹介するのは、人類学者を中心メンバーとする「ホモ・サピエンスの道具研究会」という、ちょっと気になるリサーチ・グループ名の人々によって出版された一冊。

呼吸すること、その日の天気に合わせてぴったりの靴を選ぶこと、一日の予定を想像してカバンの中身を整えること、足跡を残すこと。あらゆる人が暮らしのなかであたりまえに行為している営みを研究の対象に、ありふれていてあまりに当然のことゆえに普段は気づかない世界の設定や、意味にこだわりすぎて時に取りこぼされてゆくその豊かさについて考察した一書です。

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わかっていたつもりの行為や景色への解像度を上げたり視点をズラすことで、生き生きと容貌を違える世界の味わい。それは、ものづくりにおいても共通する基本的であり、大切な姿勢。「こんなところにヒントがあったんだ」と感じる力に、水を与えて感性をみずみずしく潤してくれるような一冊です。学術的なアプローチをテーマにしながら、シンプルな行為やルーティンの延長のなかに事象を捉えて提示する、あざやかで心地よい気づきと学びがきっとあります。

instagram #hatsutokibooks

hatsutoki books vol.27[続 暮しの思想]

2017.11.27

今回紹介するのは、社会学者・加藤秀俊さんの[続 暮しの思想]。昭和50年代の日本の「現代社会」の暮しをつぶさに観察しながらゆたかさとはなにか、様々な視点から考えられたエッセイです。ふだん私たちは生地や服をつくる時、どんな暮しをしている人に着てもらいたいのか、服を手にする人の背景をいつも思い浮かべています。何を大切にして生きているのか、それは結局、服やことば、生まれるものや身につけているもの全てに自然と落とし込まれているのだと思います。

このエッセイが綴られてから40年以上経った今でも、私たちは日々、ゆたかさを求めながら生きています。その探究心の一端だなと思えたのが、筆者が日本を『小細工の国』と称していた内容でした。文中で挙げられたのは、たとえば子どもの学習机。それは我が子の成長を願って、より良いものを揃えてあげたいと思うもの。使いやすさを求めて、机横のカバンをかけるためのフックや、時間割表を飾るためのボード、机本体に付随した鉛筆削り、あらゆるものが備わった学習机を私も幼い頃に買ってもらった覚えがあります。

しかし結局、年を重ねるとともに椅子を変え、引き出し一式を取り除いて、机上の棚もぜんぶ外して、さいごはとてもシンプルな机になっていました。今思うと、私にとってはそれがやはり一番使いやすかったのです……。

日々生活をする中で「こんなことならできる」「これなら作れる」と選択肢を一つずつ足していく作業は、すでにあるものを使うことよりも、面倒だけど楽しいモノ。ちょっと足りないくらいが、ちょうどいいかもしれない。ゆたかさとは、その中にある柔軟さや自由さにあるのではないかなと思うのでした。そんな暮しの工夫がもっとできるようになっていきたいものです。

盛秋

2017.10.27

10月もそろそろ終わる頃。台風22号が来る前に、せっせと稲刈りをしている風景がここ数日見られました。稲がこうべを垂れて実る田んぼを見渡すと、本当に黄金色という色の名前がぴったりだと感じます。

この頃、目に写る景色と身に纏いたい色は、深いつながりがあるんだなとあらためて実感していました。秋になって金木犀が薫ると、深い緑の葉の色や橙色の花を想像したり、紅葉が深まれば、赤から茶色へのグラデーションを自然と頭に描いてしまうもの。見渡せば、街で人が着ている服や、店にならぶものたちも、自然の流れと同調しているように思えますが、よくよく考えると不思議です。なぜ環境に合わせて、ヒトは同じ色を纏いたいと思うのでしょう。そんな動物はほかにいないですし(そもそも、服を着るのも人間だけですが)、国や地域によって好まれる色がちがうということにも深く関係していそうです。

そして、面白いのは一概に、季節や身の回りの風景だけが身につけたい色と関わっているとは言い切れないというところ。それはその個性であったり、重ねる時間であったり、感情であったり、当然だけど人によってちがうものです。そして時とともに変化するものでもあります。

一日として同じ日がないように、ヒトも毎日纏いたい色がちがうのでしょう。一生の間で、できるだけいろんな色に触れてみたいものです。


hatsutokiのオンラインストアには今季のお洋服が揃っています。この秋冬にまといたい色をぜひ探してみてください。

>>ONLINE STORE 2017秋冬のページへ

秋桜

2017.09.12

すっかり暦は秋になり、秋桜が咲く季節になりました。この花が細い茎と葉をたわわに揺らして咲いているのを見ると、綺麗だなと思うと同時に、短い秋がすぐに過ぎていってしまうと感じるからか、少し切なくなります。

幼稚園か小学生くらいの時、「秋の桜ってかいて、コスモスってよむんだよ」と友達に教えてもらい、そんな訳絶対にない!と断じて信じなかったというおかしな思い出があります。だってどう読んでも、コスモスなんて読めなかったからです。その数年後、曲名かなにかで使われているのを見て、ああ本当だったんだと気づくまでに数年か掛かりました。

そんなこの花の原産はメキシコで、明治の頃に渡来した植物。[秋桜]というのはあくまで当て字なのだそうですが、それでも私はこの漢字の組み合わせがとても好きです。秋を感じさせてくれるうつくしいすがたが、日本人に秋の”桜”として愛されてきた理由なのかなと感じます。