大城戸織布へvol.2

2018.01.29

前回に引き続き、先日訪れた大城戸織布へ訪れた時のことについて。機場に案内していただいて最初に足を踏み入れたのは、ワインダーと呼ばれる糸を巻き取る機械がずらりと並ぶ部屋でした。

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工場に届く糸は、形状もそれぞれ少しずつ違い、ワインダーはそれらを織りに適する形や糸量に合わせて巻き返すための機械です。織りの効率にも繋がる、地道だけど大切な作業。機屋さんは織りの作業と並行して、常に染まった糸や買われた糸を適切なかたちで巻き返す作業がされています。(糸について気になる方はこちらも合わせて読んでみてください。 >>[播州織ができるまで②-糸について-]

さて、ワインダーが並ぶ一番奥に気になる機械を発見。なんと複数の糸を撚り合わせることができる「撚糸機」でした。もっと大型のものが一般的なのだそうですが、小型のものは大型のものより購入するコストが高いのだそう。他の産地の機屋さんの繋がりなどから情報を聞き、ようやく手に入れたコンパクトな撚糸機は、こじんまりとしていて、大切に使われてきたんだろうなあという貫禄と愛嬌を持ち合わせた子でした。

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トップの写真は、まさに二本の糸が撚り合わさる部分。ローラーの回転数を調整し、糸の番手や種類によって適切な撚り回数を施すことで糸を作れるのだといいます。そして上二枚の写真のように、撚糸された糸が再び巻き取られていきます。

「糸からオリジナルで、テキスタイルを生み出せる」。織る現場で糸から研究をすることは、糸の生産現場ではできない「織り」と「糸づくり」の実験を行き来して繰り返して行えるということ。いろんな素材を掛け合わせて作る糸は、一つずつ職人さんの経験となって積み重なり、ここでしか生まれない生地を作り出せる、大きな強みになっていました。産地が生地にとっての『市場』のようなものならば、もっと純粋でシンプルな部分の、野菜の品種や土の配合など、根源的なところからデザインしようとしているんだと感じました。

「まさにこの場所から新しいものがきっと、もっと生まれていくんだ」とぞくぞくし、ワクワクと心を動かされた時間でした。

春夏に向けて

2018.01.23

次の春夏に向けて、今の時期は生地をひたすら織っています。これはドビー織といわれる、一定のピッチの模様がリピートした織物。縦に一本すっと入った糸の上をドビー模様が連なっています。パールのようで、雫のような美しい表情。

ドビー織は小柄の規則正しい幾何学的な模様が多く、シンプルな技術でありながら、模様の種類は非常に多くあります。古くからシャツ地の産地として栄えた西脇では、ドビー織の生地見本が機屋さんなどでもたくさん目にすることができます。長い時間に渡って、産地の人々によって研究と開発がされてきた技術を用いて、次の春、新鮮な表情のテキスタイルが登場します。

ここから更に、一手間加えて服地に変身する予定。どんなテキスタイルで登場するか、楽しみにしていてくださいね。

綿が糸になるまでの風景

2018.01.22

前回の[インドの綿花畑]に続いて、綿が糸になるまでの風景。これは畑で取れたコットンからごみなどの不純物を取り除いている作業の様子。本当に手で一つずつ仕分けているのだとこの写真をみると実感します。後ろ側に積まれた綿の山は、まるでブロック塀のよう。普段の日常で、近しいコットンの存在が、たくさんの人の手によって生まれているものだということに改めて気付かされます。

hatsutokiで生地を作るときも、同じ綿の糸でもどこの産地のどんな品種の糸なのか、とても慎重に選んでいます。糸の特性に詳しい糸屋さんを始め、職人さん方の経験をうかがいながら、どれが最適かを考えています。光沢感がある、伸度がある、糸の太さのムラが少ない、不純物が含まれていない……など、ぱっと糸を見ただけではわからない糸の特徴が沢山あり、長い時間費やしただけの経験と知識が西脇の産地にはあります。その一つずつを見過ごさないよう、素材を活かせるような生地作りをしていきたいです。

インドの綿花畑

2018.01.18

先日お世話になっている糸屋さんがインドに行かれたと言って、旅の道中の写真を見せてくれました。一面に広がるコットン畑に、何も遮るものがない大きな空。綿が糸になるまでの一連の工程を見に行かれたと話していました。私たちは普段、糸になった綿のすがたを見慣れてしまっていたのでこの風景が新鮮に目に映りました。

現在、日本国内には紡績の工場はほとんどありません。なので国外で栽培された綿花を紡績して、日本はその糸を輸入しています。服屋さんに行くと、この生地はどこでどうやって作られたのだろうかと想うことがありますが、この旅の景色を見せていただいて、その想像がより一層広がりました。

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綿の生地の風合いは、育てられる土壌や品種によって様々。同じ太さの綿でもそれぞれ個性があります。この地域で作られる綿は、全て人の手によって摘まれているのだそう。繊維が切れない力加減で丁寧に一つずつ収穫されるからこそ、柔らかな綿の糸となり、しなやかな生地になります。実は、綿は元々インドで誕生した素材といわれています。昔から脈々と受け継がれてきた栽培の技術や紡績の産業が、今もなお人の衣文化の中心であり、始まりとなっていることを実感できました。

林与織物へ vol.2

2017.12.21

私たちが工場を訪れている間、つかの間通り雨が降りました。「雨のおかげで、織りやすくなった」。そう口にした林与さんの言葉で気づいたのは、機場に湿度を管理するための設備がないことでした。糸の状態は、その日の気温や湿度によって変化しやすいもの。綿織物の産地である播州では、ほとんどの機屋さんに湿度を調整するための設備がそなわっています。

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播州の地では麻を緯糸として使うことはありますが、それでも綿より切れやすいと織り手さんは苦労されます。なので、その素材を湿度調整無しの環境で織っていることに驚きました。

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黙々と糸をつなぎ、機械を調整する林与さん。この産地は、今では機屋さんは片手に数える程しか残っていないと話していました。そんな状況の中、ここの機屋さんでは、いまや生地にこだわるトップブランドや企業からオーダーを受け続けています。糸の仕入れから販売までをほとんどをお弟子さんと二人でこなしており、播州では分業化された工程がほぼ、この一件で行われていると言っても過言ではないことが分かりました。それに費やされた年月と努力は、聞かずとも想像をはるかに越えるものだろうと感じられます。

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太番手から細い糸まで、どんな規格の変わった麻の生地も織り上げてきた工場。近況をうかがうと試作段階のプロジェクトがいくつも進んでいました。現状に満足せず、とことんものづくりを追求する。ないものや環境は自分で作る。その姿勢をこれまでもこれからも、ものすごい勢いで常になされていくんだと知ったとき、背筋が伸びる思いでした。


事務所には織り上げられた反物が沢山ありました。これは、hatsutokiのオンラインストアでも紹介している林与織物のキッチンリネンクロス。

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実にいろんなサイズと色がありました。近日、サイズ違いもオンラインストアに追加予定です。ぜひチェックししてみてくださいね。

>>キッチンリネンクロス 商品ページへ

ジュエリーブランド[KIKKOU]の製作風景 vol.2

2017.09.13

hatsutokiのオンラインストアにも登場したKIKKOUオリジナルのゴールドリング
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華奢でうつくしいこのジュエリーも、一つひとつ彼女の手仕事によって作られています。今回は、彼女のジュエリーの「かたち」が生まれるまでを追っていきます。


[KIKKOU]のデザイナー・亀甲有美さんのアトリエは大阪の一角。この机でジュエリーをいつも作られているのだそうです。金属を扱うための道具がずらりと並んでいました。

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指輪も、もともとは長い金属の針金のようなもの。これを指輪の長さに合わせてカットするところから始まります。

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切った断面を丁寧にやすりで磨いたら、円柱の筒に巻きつけて指輪のかたちを作っていきます。丸を描くように金属をしならせたら、バーナーでくっつける[ロウ付け]の工程。

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すると、金属はロウ付けによって表面が黒く酸化し、酸化膜ができます。それを落とすため、希硫酸という液に10分から20分ほど浸ける[酸洗]という作業を行います。酸化膜を落とした後は、磨きの作業をして表面のテクスチャーを作っていきます。

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これで、指輪のかたちが完成。これがベースとなって、ここからメッキを塗装したり、糸を巻きつけたり、いくつもの工程を重ねていくことで彼女のリングは生まれています。

亀甲さんは撮影のあいだも、説明しながらすらすらと指輪を作ってくださっていましたが、その早さにやはりびっくり。金属の素材が、だんだんと軽やかさを帯びて、繊細なかたちへと変化していく過程は、とても新鮮に思えました。

一つひとつ正確にうつくしい手仕事で完成されていく、彼女のジュエリーがあらためて愛おしく感じられます。


KIKKOUオリジナルのリングはhatsutokiのオンラインストアでもお買い求めいただけます。

むら染めしたリボンを解いた一本の糸をぐるぐると巻きつけたとても華奢で繊細なリング。その日の装いに合わせて色を合わせたり、重ねづけしても可愛いアイテムです。

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KIKKOU simple gold ring ¥5,000+tax

ジュエリーブランド[KIKKOU]の製作風景

2017.07.20

hatsutokiとのコラボレーションジュエリーを製作していただいた[KIKKOU]のデザイナー・亀甲有美さんのアトリエへおじゃましました。どんなところで、あのアクセサリーは作られているんだろう。ワクワクしながら、いざ訪問。

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川沿いに建つビルの一室に彼女のアトリエはありました。ひっそりと静かな、年季を感じる綺麗な建物。アトリエの中は白い空間で、やわらかい光が差し込んでいました。製作の期間は、この部屋でひたすら作品を作り込むのだそうです。

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亀甲さんが製作に用いる、むら染めされたリボン。これは一度ほどいて一本の長い糸にします。それを華奢なシルエットの金属に巻き続けることで、KIKKOUのアクセサリーは作られていました。
hatsutokiとのコラボレーションで生まれた、赤いアクセサリーのシリーズは、深い赤色に染まったリボンが使われています。これらのリボンは、京都の染屋の職人さんから仕入れているのだそうです。繊細でありながら自由な色使いが美しい素材。偶然に生まれる色のにじみやグラデーションはやわからなニュアンスや奥行きとなっていました。

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学生時代は染織の勉強をし、かつて繊維関係の仕事をしていたこともあるという亀甲さん。彼女にとって、糸という素材はいつも身近なもので、それを使って製作することは自分の中では、とても自然なことだと話していました。だからなのか、KIKKOUのアクセサリーは繊細で女性らしくありながら、肩の力をぬいて自然とした装いにつけたいと思えます。日々が少し、特別なものになるようなジュエリー。次回はいよいよ、その製作の風景について。


hatsutoki×KIKKOUのコラボレーションジュエリーは、鮮やかでありながらも深く落ち着きのある赤が基調となったシリーズ。ゴールドの金属面は表面を手作業でマットな質感に仕上げ、落ち着いた表情にしました。ゴールド×レッドの色味が上品で女性らしいアクセサリーです。

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※こちらの商品のシリーズは、ただいまご注文いただいてからお届けまで最長1ヶ月いただいておりますのでご了承くださいませ。ご注文を頂いた時点で、在庫状況を確認しご連絡いたします。詳細な発送日はご注文後、確定次第ご連絡させて頂きます。

播州織ができるまで⑪ -加工について-

2016.10.27

織り上がった生地は、それからのもう一手間で全く表情を変えます。今日は最終工程、生地の加工について。

加工は生地の風合いを変化させるほか、シワ感や起毛感を与える表面に施す加工、耐熱や耐水、消臭や遮光など機能性を加える加工などがあります。冷感効果のある加工にはキシリトールの成分が使われていたり、保温効果にはカプサイシンが使われていたり、そんなものもあるんだ!というものも。

北播磨地区にある加工場は現在3社。他の工程に比べて大掛かりな設備を必要とするので、機屋さんのような小規模ではなく、大きな工場を構えて経営しています。機械がずらりと並んで、そこに反物が流れるのを見ているだけでは、どこの工場も同じようなことができるのではないか…と思ってしまいましたが、柔軟加工が得意なところや、コーティングが長けているところ、起毛が上手なところなど加工場によって得意分野が全然違ったことに、この産地に来たときに驚きました。

写真は加工が一通り終わった後、最後に品質検査をする「検反」の現場。目の前を流れていく生地の端から端までに目を配らせ、生地に不良がないかを見極めます。時には数千メートルにも及ぶ商品も、この最終工程で検査を綿密に受けたのち、初めて人の手に渡っていました。

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播州織ができるまで⑩ -製織について-

2016.10.03

織物が出来上がるまでの工程を追ったこのシリーズも10回目。ようやく、織りの工程までたどり着きました。

一口に織物といっても、いろいろな素材があるように織り方も様々。織りたい生地によって、実は機械も違います。生地を織る工場を、産地では機屋(ハタヤ)さんと呼んでいますが、機屋さんによって持っている機械も変わってきます。染めや加工と大きく違うのは、家業として営んでいるところが多いということ。ほとんどが家族数人で、何台もの織機を一斉に動かしています。

機械で織る、ということは手織りなどと比べて量産もできてスピードも早く、便利であるように聞こえますが、それはまったく違いました。機屋の中は、ある程度の湿気がなければ糸が切れやすくなってしまうため、夏は時に40度を越える室内で作業をしなければなりません。それでも、手織りでは到底扱えないような細い糸は、ちょっとしたはずみで切れてしまい、職人さんはその度に一本ずつ手で結び直していきます。

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織機自体のメンテナンスも、職人さんの日常の仕事。調子が悪ければ機械を一旦停止させ、部品を交換する必要があれば、昔動いていた古い織機から部品を解体して使いまわす。塵や糸くずが織り目に飛び込まないよう、常に機械は綺麗に保つ必要があります。広い工場、大きな機械を目の当たりにするとそれがいかに大変なことか実感します。

播州織ができるまで⑨ -経通しについて-

2016.09.09

前回は、畦取りの工程で経糸を色順に並び替えるという作業について話しました。今回は、織り出すまでの最後の段階のお話として「経(へ)通し」について。

経通しの作業は、幾つかの段階に分けられます。一つは「経糸切れ停止装置」というものに糸を通す工程。これは織っている時に糸が切れたことを感知するセンサーの役目を果たしており、写真の手前側に写っているものです。これによって数千本もの糸が一本でも切れたとき、機械が瞬時に止まるようできています。

次は「綜絖」というものに糸を通します。綜絖は糸を通す穴のあるワイヤーで、写真では奥側に写った長いもの。これは、経糸を上下に動かすための道具です。上下に開いた経糸の間を緯糸が通ることがくり返され、布が織られていきます。

そして最後に「筬」というものに経糸を通します。 経糸が一本一本絡まないように整え、同時に密度を決めるものでもあります。緯糸を打ち付けて織り進めていくための道具です。

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数千本もの糸を、実は数工程に分けて何度も通されていることに驚き。これらの作業は機械で行うこともできますが、未だに手作業も主流です。ボイルといわれる強撚糸や、とても細く繊細な糸などは特に手で行わなければいけません。流れるような手さばきで、着々と糸を通し続ける職人さんのお仕事は、息を止めて見入ってしまいます。