旅の話

2016.04.13

旅はいいですよね。異国では自分の中での普通が普通でなくなり、価値観がひっくり返るようなことが次々と起こります。新鮮な体験で脳がリフレッシュされる感覚がとても心地かったりします。ものを作るときに”当たり前”にとらわれてしまうと新しい物は作れません。多様な価値観を知ることは、デザインの幅を広げてくれます。「異国の地に行くことは根を伸ばす事である。」と誰かが言っていました。一度根を伸ばせばその土壌の栄養が、知らず知らずのうちに脈々と吸い上げられていて、枝が伸び幹が太くなります。そしてその栄養を取り入れた果実が実るのだと思います。

写真はカンボジア”トレンサップ湖”。水上の船の上に家があり、沢山の人が水の上で生活をしています。水の上に学校があり、子どもたちはボートで通います。教会や商店、レストランも水の上。仕事は漁業が主で、魚をとって市場に売りに行きます。軒先にはハンモック。自転車に載るようにボートに載っていて、ボートは好きな色に塗られカスタムされています。

その場所の空気、匂い、気温、人々の熱気のようなものに直に触れた時の、ガツンと頭を打たれるような感じはその場所でしか体験できません。自分の価値観を無理やり広げるには旅が一番かもしれません。準備が大変でつい億劫になってしまうのですが、未知の養分を求めてどんどん根を張らなければなと、カンボジアの暑さを思い出しながら、思いました。

_murata

4月

2016.04.10

4月も中旬ですが、新年度に入りhatsutokiでは新メンバーを迎え、気持ちも新たにスタートを切っています。

ハツトキのはじめての専任者として、僕が西脇に移住したのがもう4年前です。当時は遠方から西脇に移り住むということはとても珍しいケースで、驚かれることも多かったのですが、ここ1〜2年で首都圏の美大や専門学校を卒業した新卒生が次々と西脇の企業に就職するようになりました。皆ものづくりをするために良い環境を求め、西脇に来ているというのが特徴です。

東京だからかっこ良くて田舎だからかっこ悪い、という感覚が少し古臭く感じるような風潮がデザイナーの選択の自由度を上げているように感じます。(そういえば西脇に移り住んですぐの頃は、東京でその話をしてもなかなか理解されなかった事をふと思い出しました)西脇の場合は市が一体となり力を入れて人を呼びこむ施策をしていることがフックの一つにもなっていてこれは本当に素晴らしいことだと思っています。

今、西脇だけでなく日本全国の繊維産地に若手のクリエイターが増えています。これから各産地の数量的な規模は益々小さくなるのは避けられないのかもしれません。しかし僕は自分たちの服作りの未来にワクワクしています。同じ価値観を持ち、もづくりをしている同世代が全国の各産地に居て新しい事にチャレンジしているからです。服作りの無限の可能性が目の前にどんどん広がっていて、僕らもその一つになれるよう更に磨きを掛けなければ、と改めて思った新年度のスタートでした。

_murata

リネンチェックコート

2016.04.10

hatsutokiの羽織りものは、柔らかに馴染む軽やかなコート。麻のふし感を活かしながらも主張しすぎない、自然な色を重ねた織柄が特徴です。

チェック柄はよく見ると1本ワカバ色がひそんでいたり、繊細な糸使いがシンプルながらも存在感のある柄になるよう何度もシュミレーションした織柄です。

素材は、極細の綿糸に”撚り”をかけ、張りのある麻を織り込むことでさらりとした質感です。シワも馴染む生地なので、使い心地の良いコートとなりました。ベルトで遊べるフリーサイズのパターンとなっています。

旅先にも羽織りものとしてちょうど良いと思います。

 

_ono

 

ONLINE STORE

「新・日本の美意識」阪急うめだ本店〜4/12(wed)

2016.04.07

阪急うめだ本店では「新・日本の美意識」というテーマが各階を彩っています。百貨店のディレクター自ら足を運び、あらゆるものづくりの産地とファッションを繋いだ企画となっています。

西脇にも足を運ばれ、播州織産地とファッションを結ぶ新世代のブランドとして、ハツトキの新しい価値を文脈付けた企画がスタートしました。私たちのつくる素材を料理したのは、ヨウジヤマモト「discord」とミュベール「MUVEIL WORK」。hatsutokiが得意とするコットンの繊細なダブルフェイスの素材が、それぞれの視点を通してモードに昇華されていました。

6階ではハツトキの商品がご覧いただけます。初夏を感じる軽やかなブラウスやコートが揃い、ストールは贈りものにもおすすめです。今季新作の影織/KAGEORIのテキスタイルは、特殊な織密度によって陰影模様のワンピースに。奄美大島「泥染」の深い土の色のワンピースは、自然の色の力強さに注目しました。

なかなか百貨店で服を見ることがない方も、是非この機会にお手にとって頂けたら幸いです。

 

阪急うめだ本店「新・日本の美意識」3/30(wed.)〜4/12(tue.)

6階プレミアムクローゼット   / hatsutoki 限定ショップ

3階モード  /コラボレーション

 

空色のコットンリネンスカーフ

2016.04.07

淡い空色のコットンリネンスカーフは、明るく軽やかで、どんな服にも似合うとても重宝する色のスカーフです。0.09mmの細さの繊細なコットンの糸と、少し節感のあるリネンを交互に入れています。繊細なコットンの柔らかさとリネン独特の上品な質感をふわりと空気の様に優しく織り上げました。スカーフの縁を囲うようにキャメルオレンジのアクセントを入れ、淡い青をより引き立てています。

このスカーフのような少しグレイッシュな青を「サックス」とよく呼びますが、このサックスは、3色の色からできています。タテ糸に薄くピンクがかったベージュ。ヨコ糸に、ぱきっとしたブルーと白を使い織り上げます。複雑な色が混ざることで生まれる繊細で奥行きのある色は、すこし西に日が傾いた時間の空の色。昼間でもなく夕方でもない淡く乱反射した柔らかい光のような優しい色のスカーフです。

コットンリネンスカーフ(ブルー)
http://hatsutoki.com/shop/products/detail.php?product_id=454

ストライプシャツ

2016.03.31

スタンダードシリーズで、白シャツに引き続き、ストライプのシャツも追加しています。白シャツと同じ白のベースに、黒に近いダークネイビーのストライプを入れています。パターンは何シーズンか掛けて、少しづつマイナーチェンジを重ねたhatsutokiの定番のシルエット。ボックスに近いシルエットなのですが、バストにはダーツが入っていて女性らしいシルエットになっています。

このシャツは少し布を余らせるように分量感を出しています。布のドレープが陰影を作り、立体感や色の深みが増すことで布の美しさが余計に際立つからです。袖を通したらすっと自然に背筋が伸びる、ボタンを止めたら一日のスタートが軽快に踏み出せる。袖をまくったら少し強気になれる。そんなシャツを作りたかったのです。

水と光

2016.03.31

アトリエに来る途中、ふと道脇を見ると河の水が美しく輝いていました。街にはこういう光景がごく当たり前のようにそこにあり、心の記憶のどこかに残り、ものづくりに反映されているのだと思います。デザインは環境の産物だと思います。hatsutokiのワードローブは、澄んだ空気、美しい水、すぐ近くにある山の景色から生まれ、どこか故郷の懐かしさや、あえて都会から離れものづくりをするほんの少しの反骨精神もある。そんな服を作れたらと思っています。

_murata

ハツトキの考える白シャツ

2016.03.31

スタンダードシャツのラインナップに白シャツを追加しました。一口に白と言っても、白には様々な白があります。漂白したワイシャツのような白だったり、コットンの色味を生かした生成りも大きく分けたら白かもしれません。

ハツトキの白シャツは、絶妙な違いで染め分けた色が混ざりあった、少し奥行のある白です。ほんのりピンクみがかったベージュ、少し漂白したオフホワイト、ライトグレーにも見える。それはそのままデザインのコンセプトを反映しています。女性らしく、凛として、落ち着いた色。春から夏にかけて、とても心地よくお召しになれるシャツだと思います。ぜひご覧ください。

ONLINE STORE
http://hatsutoki.com/shop/products/detail.php?product_id=465

POP UP STORE
http://hatsutoki.com/store/

播州織について③-MADE IN JAPANのクオリティ-

2016.03.27

播州織について②では播州織「産地」の特徴や構造、産地の特性(長所・短所)ついて書きました。
http://hatsutoki.com/blog/189/about_banshu-ori_2/

播州織について③では、日本製の技術がすごい、とよく耳にすると思いますが一体何がハイクオリティなのか?といったことを、実際に私達が普段播州産地で見聞きし、感動した体験を例にしつつ、具体的にお伝えしようと思います。

まず、ハイクオリティ(高品質)な織物とはどんなものなのか、という点について先に少し考えてみます。(ここではとりあえずクオリティ=品質というとし、色や柄、デザイン性は抜きにます)織物はタテ方向に数千本もの糸を綺麗に整列させ、ヨコ方向の糸を一本づつ差し込んで行くことで、はじめて布となります(※上の写真はタテ糸を数千本、整列させ、織り機にに乗せているところです。デザインされた柄通りに糸を並べる作業は今でも一本一本、手作業がほとんどです)。1反(通常50m)の布を、美しく織り上げる作業というのは、数千本の糸を50mの間、絡まらせることもなく、傷つけることもなく扱い、ヨコ糸を数万回、数十万回と差し込んで行く作業を一度も間違いなくこなす作業なのです。例えば、ふわふわと舞う埃が糸の上に落ち、生地の中に打ち込まれてしまう事を「飛び込み」といい不良と言われてしまいます。タテ糸が2本同時に切れ、テレコに結んでしまうと、柄や組織が崩れタテに筋が入ったような傷が出来てしまいます。私は50mの織物が傷一つなく美しく織られるということがどういうことなのかが分かったとき、とても感動したことを覚えています。

それでは更に前の工程、糸を染める染色の高品質とはなんでしょうか。播州織は先染めの産地なので、糸を染める工程はとても重要な工程の一つです。逆に質の悪い染色の代表例は色落ちです。洗濯をしたときに色が落ちて他の物についてしまった、というのを誰しも一度は経験しているのではないでしょうか。西脇で染められた物は殆どの場合、そんなことにはなりません。西脇の水質とも関係しているのですが、重要なのは染めた後、何度も何度も水を通し、染まりついていない染料を徹底的に洗い流す工程です。よく「イタリアの布は発色が良い」という話を耳にしますが、これは染まりついていない染料を落としきっていないから、とも言われています。海外の布はよく色落ちすると言われるのもこのためです(数値で検証しているわけではないので一概には言えませんが)。染め上げた後、洗いを繰り返しこれ以上は色落ちしないという基準を厳しく定めているため、発色はピークから少し落ちたところに最終収まるのです。

染色についてもう一つ驚いたのは「色の出し方」です。色は混ぜれば混ぜるほどくすんで行き、黒に近づいていく性質があるのですが、染色の染料も同じです。染料を混ぜて、イメージに近い色を出すのですが、混ぜるほど発色は落ちます。つまり発色という点のみを追求するのであれば染料メーカーの色を単色で使うのが一番よい発色になるのですが、その場合デメリットがあります。もしその色が廃盤になった場合、二度と同じ色を出せなくなってしまうのです。なので染色工場は染料を必ず混ぜて使います。単色に近い場合でも、少し他の色を混ぜるのです。そうすることで、もしある色番が廃盤になっても違う色との混合で再び色を再現できるという工夫をしているのです。

上記はほんの一例ですが播州織の高品質を維持する為の工夫は沢山あります。hatsutokiの織物はその中でも更に特別です。100番単糸という極細の綿糸を使用しているので、糸の扱いに関しては、各工程で更に工夫と丁寧な仕事が必要なのです。例えば織りの前工程で糊付け(サイジング)と呼ばれる工程があります。糸を織りやすくするために糊を付け、補強する工程なのですが、100番単糸を織り上げるためにはこの工程がとても重要です。糊の調合、付ける量のコントロールが完璧でなければ、糸が切れてしまい織れません。この糊付けが出来るのは播州で一軒のみと言われているのですが、糊付け屋さん曰く「ただ強くガチガチに固めるだけでは駄目。程よく粘りをもたせ、柔軟な糊付けをすることで糸が切れなくなる。また最も重要な事は、すべての工程を丁寧に行うこと」だそうです。そしてこの糊をつけた後の糸を織り工程の機屋さんに運ぶのですが、この運ぶ際の”トラックの運転が荒”いと、糸が切れて駄目になります。ゆっくり丁寧に運転し、糸を運ばなければならないのです。

これ以外にも、様々な工程で沢山の人の手を通り、織物は出来上がります。誰かが手を抜いたり、下手な仕事をすると、織物の品質は下がります。またそれ以外に環境もとても重要な要素です。綺麗な水がなければ綺麗な染は出来ません。美しい自然から生まれる美しい色。これもアジアに負けない日本の品質を支える重要な要素の一つなのです。

ある一つの工程を見ただけでもこれだけ多くの工夫があることがわかります。これは代々受け継いでいる技術と経験、知識、そして柔軟な現場でのアイデアと知恵が、播州織のクオリティを支えているのです。

③では播州織のクオリティ(品質面)について、私達が実際に見聞きして感動した事を書きました。④では、技術の更に次の段階。つまり意匠性や付加価値をどう生み出すのかという点で、「播州織の今とこれから」という切り口でお話します。

 

過去の記事

播州織について①-播州織と西脇-

播州織について②-播州織産地の特徴-

 

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桐生産地の旅

2016.03.21

先日、群馬県桐生市に行ってきました。桐生は東の西陣と呼ばれ、シルクの織物の産地で有名になった産地です。シルクを使った贅沢な「ハレ着」を作ってきた産地なので、高単価の織物が多く、今でも世界の名だたるブランドの生地を作っている産地でもあります。

街にはとても感度の良い老舗の有名セレクトショップもあります。ここまでエッジの効いた服を街の人が買っていくもなのかと尋ねたところ、店員さんも地元出身でいわく「実際は街のお客さんがほとんど。祖母や父の代でも大事なここ一番の行事ごとでは、洒落て出ることが多い、街にはそういうDNAが脈々と受け継がれているのでは」と。繊維産地の中では東京からの距離も近く、デザイナーや、文化人が昔から出入りしていた事も関係しているかもしれません。

写真は、ニードルパンチと呼ばれ生地と生地を張り合わせる特殊な機械を持っている工場にお邪魔したところ。すぐに実験できるようにかわいい端切れがたくさん準備されていて、体験をさせてもらったところ(かなりポップな仕上がりに…笑)。思いついたらすぐにプロトタイプが作れる環境が素晴らしい。この後、刺繍やさんにもお邪魔したのですが、そこでも、東京から来たデザイナーが一日ショールームで籠ってアイデアを練り、すぐに実験。というようなものづくりが実際にされているとのことでした。

このような、アイデアと実践の距離が近いことは新しいものを生み出すためにとても重要だと思います。桐生は東京から近いことでそれがおそらく昔から、ごく自然に行われていたのではないかなと想像できました。きっとその風土や職人さんの気質もデザイナーにとっても心地よいのだと思います。近年クリエーターの移住者も増えていて、今後がとても楽しみな産地の一つです。