当たり前ではないこと

2018.06.28

hatsutokiのチームは、兵庫県外からそれぞれが集まって一緒に働いています。東京、神奈川、山口から……それぞれ色んな道を経て西脇に来ており、だからこそ感じるものというのも日々たしかにあるように思えます。

はじめの頃は「ふつうの平織りなのに、なんで難しいんだろう?」、「特別意匠的なデザインではないはずだけど、織りにくいのはなぜ……?」と、設計した生地について現場と相談しては返ってくる反応一つひとつに、驚きと戸惑いがありました。各工程の職人さんに会いに行き、不具合があれば直接聞きにいったりして、教えてもらうことでだんだんと少しずつ、これまでは知らなかった「作る」むずかしさを具体的に知れるようになってきました。(それでもまだまだ、ですが……。)

チェックやストライプのみならず、無地の織物でも播州で織られているものがたくさんあります。私たちの生活に実は身近にあるものが、安定した高い品質で作られ続けることを、関東にいるときは取るに足りない当たり前のもののように思っていました。しかし今は、どんな季節も、どんな気温でも毎回同じ色で染め上げることのむずかしさ、違う機械をもつ機屋さん同士で同じものを作るために注がれるコミュニケーションの大切さを西脇に来て、身に染みて感じます。縞模様だって、人の手で一本ずつ並べられているなんて、来るまで想像もできませんでした。

当たり前に思っていたものは、当たり前ではなかったんだ、ということをふとここ数日にあらためて思ったのでした。

hatsutokiの巾着ができました。

2018.06.26

今季オリジナルのテキスタイルで、hatsutokiの巾着がオンラインストアに登場しました。

ちょっとした旅行の時や、インナーバッグとして、夏は浴衣と合わせてもお使いいただけるような小ぶりのサイズです。柄は全部で6種類。ビビッドなイエローや、カットドビーが映える落ち着いたネイビーをはじめ、東京・青梅[壺草苑]で染め上げた本藍染の、美しい藍色の巾着も生まれました。

お出かけが楽しくなるような軽快なアイテムです。こちらはオンラインストア限定でのご紹介です。



[巾着 雨のドビー] 各¥3,500


[巾着 本藍染 ラメストライプ] ¥4,600


[巾着 本藍染 雨のドビー] 各¥5,400

草花は生き生きと

2018.06.21

今日は夏至ですね。1年でもっとも日が長い日。とはいえ季節はすっかり梅雨。洗濯物も乾かないし、湿気も多く体も重たい……。なかなか気分も晴れませんが、山に紫陽花がすごく綺麗に力強く咲いているのを見つけました。物憂げな6月も草花にとっては、とても気持ち良い季節なのかもしれません。何しろ夜がもっとも短い季節でもあるのですから。山の緑も一段と深く、生き生きと前向きに夏を待っているようで、元気を分けてもらいました。

 


 

去年の今頃、雨がしとしとしと……と降り続き、人々も少し憂鬱気味。そんなときに雨粒が連なる様子をイメージして、梅雨を楽しくしてくれる生地をになれば、と柄を考えました。一年のものづくりの歳月を経て、形が与えられた布がオンラインストアに並びました。きっと梅雨を楽しくしてくれることと思います。是非御覧ください。

 

tea_top-5
[雨のチュニック ]

パリッとした生地で仕立てました。湿気の多い日本の夏でも心地よく着ることが出来ます。強い生地ですので、気にせず洗濯できる、というとこも合わせて今から夏にお勧めしたいシリーズです。


[雨のドビーハンカチ]

雨をポケットに。黄色く細い糸で入れたボーダーは光のラインを表しています。水玉に光があたり光る様子を生地にしました。

tea_top-6
[vent de moe/扇子(雨の次の日)]
キラキラと光るラメ糸が打ち込まれた白い生地に、花や葉のコラージュが手仕事で縫い付けられています。懐かしい記憶の風景がよみがえるvent de moe とハツトキのコラボレーションによる扇子です。

hatsutoki books vol.31 [David Hockney photographe]

2018.06.19

今回ご紹介するのは、20世紀の現代美術を代表する一人、David Hockneyのポラロイドを集めた作品集。彼は1937年にイギリスで生まれて、63年にアメリカの西海岸へ拠点を移して、制作活動をしてきました。移り住んだ後の1960年代後半から1980年前半までに撮りためた、彼の日常と旅の道中をスケッチのように切り取った写真、そして、のちに高度に洗練されたキュビスムのテクニックを用いたような写真のコラージュ作品『CAMERAWORKS』が生まれるに至るまでのデイヴィッド・ホックニーの軌跡ともいえる作品です。

彼は、画家として長年に渡り活動を続けてきましたが、その中でもプールがモチーフとしてしばしば描かれていました。一人の男性が、プールで泳ぐ人物を見つめる絵。これが元になった、のちの彼の絵画作品がとても有名ですね。この写真の、プールサイドから視線を落とす男は実は彼の元恋人で、泳いでいるのはホックニー本人なのだそう。アメリカで彼に出会い、のちにホックニーは捨てられたも同然に別れたらしいのですが、それでも数年後、昔の恋人をとても象徴的に絵画に落とし込んで描いていました。彼が、どんな気持ちで、筆をとったのかとつい思いを巡らせてしまいます。

また、写真をつなぎ合わせて、二次元的な表現を変化させようとしたこの手法も、この頃から何気ない日常の風景を切り取った写真で行われていました。今でさえ、アナログでありながら、とても新鮮な手法に感じます。

西海岸の陽の光を彷彿とさせるような、鮮やかな色彩で描かれたポップアートが印象に強い彼の作品。しかし実は、その一つずつのピースは彼のとても日常的なことで、昔の記憶を、時には辛い過去の記録をも拾い上げて、時を経ながら自分の絵に昇華させる作風は、とても私的な日記のようで人間らしい行為に感じられます。

奥行き

2018.05.25

空の青、海の青、遠くの霞んだ景色の中に浮かぶ山の青。自然の中にある色は、時間や気温、湿度によって変化し、様々な光が混じり合い構成されています。美しい自然の色は、それがどこか遠く懐かしい記憶を蘇らせるからでしょうか、日々のふとした瞬間に目を奪われると身体の中までじんと染み渡る静かな感動があります。

先日、東京・青梅の壺草苑さんから本藍染のシャツやワンピースが染め上がり、到着しました。この藍染の色を見るといよいよ夏だなという気持ちになり、毎年わくわくしてしまいます。この色は青でも、ネイビーでもなく、「藍色」なのだと職人さんはいいます。完全に天然の染料のみで染められた色は、とても優しく自然の循環の中にあり、そして様々な色の層が重なる奥行きのある色なのです。

本藍染ワンピース

壺草苑さんの染めは、徳島で藍の葉から作られた天然染料を使います。染料はひと夏掛けて栽培され、手で摘まれ、秋から冬かけ発酵させ、およそ300日を費やし完成します。江戸時代から続く染料の技法ですが、何しろ、てまひま掛けて作られるこの染料は大変貴重で、染料を作る職人さん自体がもう日本に指折り数える程しかいらっしゃらないと聞きます。

どうかこの美しく、静かで、人の心を穏やかにしてくれる藍色が途切れないよう、私達も大切にものづくりに向き合い、この感動を誰かに伝えて行ければと願っています。

 

*壺草苑さんの染について、詳しい内容はこちらに記載されています。染にご興味の有る方は是非ご覧ください。
>>播州織・素材のものがたり No.3 “天然藍灰汁醗酵建藍染”

 

 


 

 

オンラインストアに藍染のシリーズが入荷しております。夏の涼やかな装いにお勧めです。

tea_top-5
[本藍染 雨のドビーオープンカラーシャツ]

tea_top-2
[本藍染 雨のドビー チュニック]

tea_top-6
[本藍染 雨のドビー ワンピース]

 

お茶の時間

2018.05.24

最近、夕方になっても日が高く、夏至が近づくのを感じるようになりました。夜の七時でもまだ空は明るくて、帰り道でも気分が心なしか晴れ晴れとしています。人って日の長さとか天気で、心持ちが大きく変わってくるからふしぎです。

環境の変化と同じくらい大切なのが、やっぱりからだの調子です。ある日、コーヒーばかり飲んでいる生活をしていることに気づいて、午後のコーヒー一杯をハーブティーにしてみはじめた時期がありました。どこか本調子になれない時を、カフェインで馬力を出させるのではなくて、「私、お疲れ様です。まあ五分休もうよ」といたわることにしてみたんです。それだけで、それから一日フラットな気分で過ごせて、それが寝るときまで続いているように感じるときもありました。

この春から、岡山のハーブ畑で育てられているハーブティーのお取り扱いをはじめたのですが、栽培から加工、販売まで一貫でされている香草工房の内藤さんも、ご自身が体調を崩してから、療養される中でハーブの世界に出会ったのだといいます。そのお話を知って、どこか納得していしまいました。自分のケアをできるのは、自分。そう思うとからだにいいと感じるものをとっていきたいと、この頃あらためて思います。

お茶っていうのは「モノ」ですが、これを飲む「時間」だと思うと、なんだかいいですよね。自分が体験したこの時間を贈りたいと思い、先日の母の日には「忙しいかもしれないけど、毎日ぼんやりしてください」という思いを込めて、ぼんやりブレンドという名のついたハーブティーを贈りました。

tea_top-5
[ぼんやりブレンド]

オレンジピールやレモングラスは、他の種類のものと掛け合わせて飲むと、いつもの味が新鮮になります。
tea_top-2
[レモングラス]

tea_top-6
[オレンジピール]

いろんな味を少しずつ、ぜひ試してみてくださいね。

>>ハーブティー一覧へ

播州の染め

2018.05.22

染色工場へうかがったとき、染色の色見本を見せていただきました。ずらりと並ぶ色は二万色以上だそうです。何十年も染め続けてきた蓄積は、今もなお増え続けており、色とは無限にあるのだと思えました。

以前、機屋さんとお会いして、この土地だからこそ生まれる織物とは何か、ということについて話していました。今の時代、生地を織り上げる織機も糸も輸入できる。職人の技術があれば、播州ではなくてもどこでも織れるんだと言っていました。そんな中で、この土地が誇れるものはやはり、染めに適した水の資源に恵まれ、糸の染めから織物を作り上げられる環境だとおっしゃっていました。

播州を南北に流れる加古川は、染めに適した軟水が流れています。日本の多くをしめるこの水質は、不純物が少なく、季節によって成分が大きく変化しないなど、染色に関する条件がいいのだそうです。今も染色工場をはじめとする、様々な現場は川沿いなど水の近くに隣接して建っています。

産地がかつて、繊維産業の恩恵を今よりももっと受けていた時代から現在にかけてもなお、私たちは恵まれた自然によってものづくりができているんだとあらためて感じました。自然のゆたかさと、人々の暮らしのゆたかさは共存できるんだということが、長らく街中で暮らして生きてきた私にはとても新鮮で、素晴らしいことに思えます。

hatsutoki books vol.30 [「生活工芸」の時代]

2018.05.08

「20世紀という重く大きな時代が終わり、新しい世紀が訪れた、ちょうどその頃に始まる話です。この10数年を、僕たちは「生活工芸」の時代と呼んでみることにしました」。そう呼ぶことで、自分たちが生きている時代の価値観や暮らしを俯瞰してみようと試みた一冊。「生活工芸」に関して、陶芸家や編集者、デザイナーや骨董屋の店主、茶人など十三人それぞれの考えが寄せられています。読んだ後にその輪郭が少し浮かび上がってみえました。

私たちも普段、生地や服を作るとき、ものの背景が伝わるような伝達を心がけ、ものづくりの透明性を意識しています。手仕事ないし職人仕事の生活道具がグッと身近な存在になり、それとともに、生活そのものが大きな関心事になった時代だからこそ、その思考に対する歴史的な経緯や、社会状況の影響と共に今の時代を理解したいと思いました。

工芸、民芸について「用の美」という価値を見出されて、語られることがしばしばあります。興味深いなと感じた内容の一つが、実は「用」には二つの側面があるのではないか、という考え方でした。その一つは目に見える具体的な機能美。もう一つは「目に見えない抽象的な作用」。この物が傍にあることで落ち着きを得られる、あるいは背筋が伸びるというような体験をさせてくれるものです。骨董屋の店主は、水留めの処理をしていない器を買ったお客さんは「これをお皿として使うのではなく、土が身近にあった故郷を思い出すために手元に置きたい」と言って、買って行かれたことを例にあげていました。

「生活することは、どこへも行かないまま、遠くに行くことだと思います」。目に見えない「用」を言い換えると、こんな語り方もできるのだと思いました。台所を工夫して、気持ちよく家事をできるようにする。あるいは、暮らしの中でなんでもない時間に椅子に座っている間も含め、そんな日常の経験の中でも旅が自分を作るのと同じように、自分は作られているんだという言葉が、腑に落ちたのです。

結局、私たちは生活の中で旅をしているんだなあと。そのための服、そのためのハンカチーフ、そのための食器。ものとの出会いを一つずつ大切にしながら、旅をしてもらえるようなものづくりをしていきたいです。この季節からhatsutokiは洋服とその周りにある生活品も一緒におすすめしたいと思い、オンラインの店頭に並べはじめました。一つずつ試しながら前に進んでおり、お取り扱いのペースはゆっくりですが、使う人の日々がよりゆたかな旅になるようなものを揃えていきたいと思います。

ぜひ、ご覧くださいね。

>>オンラインストアへ

instagram #hatsutokibooks

初夏の緑

2018.05.06

五月に入り、山が青々としてきました。上を見上げると背の高い木々が風にゆさゆさと揺れていて、葉音がとても心地よく感じました。同じ音でも、川や緑から聴こえる音ってなぜこんな心地よいのでしょうね。きっと人にとっては古くからの記憶で、ずっと聴きなれている音なのだからでしょうか。



目に映ると心地よく、やさしい印象をもつやわらかなグリーンのアイテムをご紹介。初夏にぴったりの色合いを、ぜひご覧くださいませ。

HS-22PO-01B-GR_top
初夏らしい、淡いグリーンのテキスタイル。
ツイルオーバーブラウス


IA-00KI-02-BE-01

お花のパーツをかたどったkikkouジュエリー。
KIKKOU ピアス


JS-00GD-01-GR_top

しなやかな触り心地の、影織のハンカチーフ
影織 ハンカチーフ

風の色

2018.04.17

ふと家の近くの県道脇で雑木林に目に止まりました。ついこの間まで、枯れた枝と霧が立ち込める白黒の林だった筈が、朝の柔らかい光を浴びて細やかで淡い色彩で彩られていました。夏の力強い色やコントラストとはまた違う春の穏やかな色でした。

春の朝、思わず暖かいととてもほっとします。日の光は暖かく、空気の冷たさはその破片をかすかに感じるくらいで、冬はもう殆ど追いやられてしまったのが分かります。そして甘い花の香りを乗せた風は淡いピンクやグリーンを私の記憶に残してくれました。木の枝からはついに若葉が飛び出してきて、山を淡い色で染めていっている様です。

 


 

花は咲いては枯れ、また違う花が咲き、季節がどんどん過ぎて行くのが分かります。もう四月も後半に差し掛かりすっかり春らしい陽気になりましたね。
春の風をモチーフにした素材の新作や、素敵なアクセサリーもお披露目しています。どうぞご覧ください。

HS-22PO-01B-GR_top
淡い春の風をモチーフにした色のテキスタイルです。
>>ツイルオーバーブラウス

IA-00KI-01-P-01
雌しべの様なフォルムのkikkouジュエリー。
>>KIKKOU ピアス

JK-22PO-01_top
雨をモチーフに、「ドビー」と呼ばれる技法を用いたテキスタイルのシリーズ。
>>雨ドビーチュニック