hatsutoki books vol.27[続 暮しの思想]

2017.11.27

今回紹介するのは、社会学者・加藤秀俊さんの[続 暮しの思想]。昭和50年代の日本の「現代社会」の暮しをつぶさに観察しながらゆたかさとはなにか、様々な視点から考えられたエッセイです。ふだん私たちは生地や服をつくる時、どんな暮しをしている人に着てもらいたいのか、服を手にする人の背景をいつも思い浮かべています。何を大切にして生きているのか、それは結局、服やことば、生まれるものや身につけているもの全てに自然と落とし込まれているのだと思います。

このエッセイが綴られてから40年以上経った今でも、私たちは日々、ゆたかさを求めながら生きています。その探究心の一端だなと思えたのが、筆者が日本を『小細工の国』と称していた内容でした。文中で挙げられたのは、たとえば子どもの学習机。それは我が子の成長を願って、より良いものを揃えてあげたいと思うもの。使いやすさを求めて、机横のカバンをかけるためのフックや、時間割表を飾るためのボード、机本体に付随した鉛筆削り、あらゆるものが備わった学習机を私も幼い頃に買ってもらった覚えがあります。

しかし結局、年を重ねるとともに椅子を変え、引き出し一式を取り除いて、机上の棚もぜんぶ外して、さいごはとてもシンプルな机になっていました。今思うと、私にとってはそれがやはり一番使いやすかったのです……。

日々生活をする中で「こんなことならできる」「これなら作れる」と選択肢を一つずつ足していく作業は、すでにあるものを使うことよりも、面倒だけど楽しいモノ。ちょっと足りないくらいが、ちょうどいいかもしれない。ゆたかさとは、その中にある柔軟さや自由さにあるのではないかなと思うのでした。そんな暮しの工夫がもっとできるようになっていきたいものです。

播州の風景

2017.11.24

先日、多可町という西脇市のすぐ隣の町で、播州織の歴史を辿った写真展が行われていました。いつもお世話になっている機屋さんに教えていただいて向かった先は、のこぎり屋根の建物。かつて織物工場だった場所が会場となっていました。

播州は200年の歴史を誇る先染め織物の産地。その最盛期は、今から30年前の昭和62年頃。その時期まで、中学を卒業したばかりの「女工さん」と呼ばれる女学生が集団就職で西脇で働きにきていました。産地にいると、昔女工さんがいた時の話をご年配の方から聞くこともありますが、なかなかピンときませんでした。今は、どこの工場も男性の方が多くて、若い人も少ないからです。ここ数年は西脇市の取り組みによって、デザイナーが産地に移り住みやすくなりましたが、それでも、織物の現場ではまだまだ若い働き手が足りていないのが現状です。

だからこそ、若い女性が働いている様子を写真で見て、驚きました。そして、この人たちの仕事があってこそ、今の産地があるのだと深く実感できたのです。

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[工場で綛を干している様子]

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[製織の現場で働く様子]

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[綛くりをしている様子]

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[サイジング(経糸の糊つけ)の様子]

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[整経(経糸を準備する工程)の様子]

あらゆる工程で、女工さんが働いていたのがわかります。聞くと、当時は数ヶ月に一度くらいしか休みもなく、ただただ働いていたとのこと。自分よりもはるかに若い時期に働きづめだったということも今だと到底想像できませんでしたが、写真によって、ふとそれが現実味を増しました。時代が移り変わって、ものの流れが変わり、働く人が変わり、働き方が変わり、作るものが変わる中で、この景色は次第に見られなくなりましたが、たしかに、この播州に刻まれた歴史を少しでも垣間見れたことは、とても新鮮に感じて、今自分たちができることは何か、あらためて見つめるきっかけになったように思えます。

hatsutoki books vol.26[Cave]

2017.11.20

ひとが最初に絵画のためにキャンバスを選んだ場所であることから名付けられた[Cave]。角田純さんというアーティストの20年間に渡る制作活動を時系列に収めたこの作品集は、静寂を帯びながらもよりシンプルに、より奥行きのある表現へ時と共に変化してきたようすが伝わってくる一冊。

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影のような、残像のようないくつにも重なる色の層は、動きを想像させ、時間を感じさせてくれます。リズムのある色彩はページをめくるごとに、まるで音楽を聴いているような感覚にさせてくれるのです。

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たまたま書店で出会ったこの本は、中が開けないように包装されていたのですが、日の光との相性がすばらしく良いこの表紙を見た瞬間に、全部見たくなって手に入れたものでした。それからというものの何を作るにあたっても、頭の体操や気分転換に、必ずと言っていいほどこの画集を手にしては、ぱらぱらとめくって眺めています。言葉のいらない「心地よさ」を一瞬で思い出させてくれる、大切な一冊です。

盛秋

2017.10.27

10月もそろそろ終わる頃。台風22号が来る前に、せっせと稲刈りをしている風景がここ数日見られました。稲がこうべを垂れて実る田んぼを見渡すと、本当に黄金色という色の名前がぴったりだと感じます。

この頃、目に写る景色と身に纏いたい色は、深いつながりがあるんだなとあらためて実感していました。秋になって金木犀が薫ると、深い緑の葉の色や橙色の花を想像したり、紅葉が深まれば、赤から茶色へのグラデーションを自然と頭に描いてしまうもの。見渡せば、街で人が着ている服や、店にならぶものたちも、自然の流れと同調しているように思えますが、よくよく考えると不思議です。なぜ環境に合わせて、ヒトは同じ色を纏いたいと思うのでしょう。そんな動物はほかにいないですし(そもそも、服を着るのも人間だけですが)、国や地域によって好まれる色がちがうということにも深く関係していそうです。

そして、面白いのは一概に、季節や身の回りの風景だけが身につけたい色と関わっているとは言い切れないというところ。それはその個性であったり、重ねる時間であったり、感情であったり、当然だけど人によってちがうものです。そして時とともに変化するものでもあります。

一日として同じ日がないように、ヒトも毎日纏いたい色がちがうのでしょう。一生の間で、できるだけいろんな色に触れてみたいものです。


hatsutokiのオンラインストアには今季のお洋服が揃っています。この秋冬にまといたい色をぜひ探してみてください。

>>ONLINE STORE 2017秋冬のページへ

[ nice things. ]12月号に掲載されました。

2017.10.26

[nice things.] 12月号にてhatsutokiを紹介していただきました。西脇での暮らしや、産地の歴史、デザインについて、どんな考えを持ってものづくりをしているのか書かれています。産地に根ざして、服を作るということについて、より深く知っていただける記事になりました。ぜひお手にとってご覧ください。


雑誌で掲載されていたアイテム。ダブルフェイスプルオーバーは配色によって12月に追加入荷の予定です。

ダブルフェイスプルオーバー ¥18,000+tax

[グリーン]

ダブルフェイスパネルストール ¥13,000+tax

[ブルー]

山のジャガードストール ¥15,000+tax

[グレー][ベージュ][ネイビー][カーキ][イエロー]

2017年秋冬のLOOKを公開しました。

2017.09.20

hatsutoki(ハツトキ)2017年秋冬のシーズンビジュアルを公開いたしました。
今シーズンよりBEAMS JAPAN、International Gallery BEAMS fennicaなど関東圏での取り扱いが本格的にスタート。素材の魅力を引き出した、美しくしなやかなワードローブとなって登場します。

下記よりリリース内容の詳細、及び2017AWビジュアルの画像をダウンロードいただけます。 
 

Download▶プレスリリース(pdf)
Download▶ヴィジュアル・画像素材(zipファイル)

ジュエリーブランド[KIKKOU]の製作風景 vol.2

2017.09.13

hatsutokiのオンラインストアにも登場したKIKKOUオリジナルのゴールドリング
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華奢でうつくしいこのジュエリーも、一つひとつ彼女の手仕事によって作られています。今回は、彼女のジュエリーの「かたち」が生まれるまでを追っていきます。


[KIKKOU]のデザイナー・亀甲有美さんのアトリエは大阪の一角。この机でジュエリーをいつも作られているのだそうです。金属を扱うための道具がずらりと並んでいました。

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指輪も、もともとは長い金属の針金のようなもの。これを指輪の長さに合わせてカットするところから始まります。

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切った断面を丁寧にやすりで磨いたら、円柱の筒に巻きつけて指輪のかたちを作っていきます。丸を描くように金属をしならせたら、バーナーでくっつける[ロウ付け]の工程。

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すると、金属はロウ付けによって表面が黒く酸化し、酸化膜ができます。それを落とすため、希硫酸という液に10分から20分ほど浸ける[酸洗]という作業を行います。酸化膜を落とした後は、磨きの作業をして表面のテクスチャーを作っていきます。

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これで、指輪のかたちが完成。これがベースとなって、ここからメッキを塗装したり、糸を巻きつけたり、いくつもの工程を重ねていくことで彼女のリングは生まれています。

亀甲さんは撮影のあいだも、説明しながらすらすらと指輪を作ってくださっていましたが、その早さにやはりびっくり。金属の素材が、だんだんと軽やかさを帯びて、繊細なかたちへと変化していく過程は、とても新鮮に思えました。

一つひとつ正確にうつくしい手仕事で完成されていく、彼女のジュエリーがあらためて愛おしく感じられます。


KIKKOUオリジナルのリングはhatsutokiのオンラインストアでもお買い求めいただけます。

むら染めしたリボンを解いた一本の糸をぐるぐると巻きつけたとても華奢で繊細なリング。その日の装いに合わせて色を合わせたり、重ねづけしても可愛いアイテムです。

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KIKKOU simple gold ring ¥5,000+tax

秋桜

2017.09.12

すっかり暦は秋になり、秋桜が咲く季節になりました。この花が細い茎と葉をたわわに揺らして咲いているのを見ると、綺麗だなと思うと同時に、短い秋がすぐに過ぎていってしまうと感じるからか、少し切なくなります。

幼稚園か小学生くらいの時、「秋の桜ってかいて、コスモスってよむんだよ」と友達に教えてもらい、そんな訳絶対にない!と断じて信じなかったというおかしな思い出があります。だってどう読んでも、コスモスなんて読めなかったからです。その数年後、曲名かなにかで使われているのを見て、ああ本当だったんだと気づくまでに数年か掛かりました。

そんなこの花の原産はメキシコで、明治の頃に渡来した植物。[秋桜]というのはあくまで当て字なのだそうですが、それでも私はこの漢字の組み合わせがとても好きです。秋を感じさせてくれるうつくしいすがたが、日本人に秋の”桜”として愛されてきた理由なのかなと感じます。

カリッと揚げるフライドポテトの作り方

2017.08.26

「美味しいフライドポテトが作れる様になりたい…」と思いたち、色々なサイトでレシピを調べ色々と試してみたのですが、フライドポテトは意外に奥が深く、なかなか思うように行きませんでした。2度揚げしたり、水にさらして冷凍するのが良いなどなど色々な情報を元に試しましたが、なかなかカリッとならず、しっとりしてしまったり、外は上がっているのに中まで火が通らずに堅い…などなど。。

様々な失敗を経て、ついにたどり着いたのはとてもシンプルな作り方でした。わずか3工程のすごくシンプルな作り方。外はカリッと揚がり、中はホクホクです。是非試してみてください。

[材料]
じゃがいも
サラダ油

[作り方]
1.じゃがいもを皮付きのままよく洗い、そのまま電子レンジで加熱。竹串がすっと通るまで火を通します。
2.火が通ったら1/8程度にカットします(小さいじゃがいもは1/4でもOK。皮は好みですがカリッとするので、皮付きのままがオススメ)。
3.180度~190度程度に熱した高温の油で、表面がこんがりきつね色になるまで揚げます。

塩・粗挽きの胡椒などお好みで味付けして完成!

[コツ]
・じゃがいもは必ず皮付きのまま火を通す。そのまま食べられるくらいまでホクホクにします。
・180度~190度は「衣を落としたとき、少し沈みにすぐに浮き上がってくる」もしくは「菜箸を入れた時に、箸全体から大きめの泡が上がってくる」状態です。
 →調理用のデジタル温度計などがあると簡単です。1000円などでも買えるので一つあるとお肉を焼く時などもとても便利です。
・塩、胡椒など味付けは、ボールを使いフライパンを振る様に混ぜると全体に塩が行き渡ります。
・じゃがいもの品種はでんぷん質な程フライドポテトに向くと言われています。男爵が良いらしいのですが、メークインでも美味しかったです。

[応用編]
・ローズマリーやタイムなど香草と一緒に揚げると、香りの良いフライドポテトに。ニンニクを一緒に揚げるのも…美味しいです。

蓮の花

2017.08.18

お盆に墓参りをしたら、蓮の花が咲いていました。仏教では、西方浄土の極楽は神聖な蓮の池と信じられているためお寺の境内に蓮の池が作られて、よく植えるようになったのだそうです。アジアのいろいろな国の国花にもなっています。

しずかに浮かぶ蓮の花は、きれいな澄んだ水でしか咲かないのだそうで、それを知るとどこかいっそう特別にうつくしく感じ、昔から神聖な花として人々に親しまれてきたのがわかるような気がします。

ちなみに、蓮は「蜂巣(はちす)」を略して生まれた名前。実の入った花床にはたくさんの穴があいていて、蜂の巣に似ているからなのだそうです。

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外皮が固くなった花床は、まるで生き物のようでした。青々とした葉っぱが夏の日差しに、鮮やかに映えていました。