旅の話

2016.04.13

旅はいいですよね。異国では自分の中での普通が普通でなくなり、価値観がひっくり返るようなことが次々と起こります。新鮮な体験で脳がリフレッシュされる感覚がとても心地かったりします。ものを作るときに”当たり前”にとらわれてしまうと新しい物は作れません。多様な価値観を知ることは、デザインの幅を広げてくれます。「異国の地に行くことは根を伸ばす事である。」と誰かが言っていました。一度根を伸ばせばその土壌の栄養が、知らず知らずのうちに脈々と吸い上げられていて、枝が伸び幹が太くなります。そしてその栄養を取り入れた果実が実るのだと思います。

写真はカンボジア”トレンサップ湖”。水上の船の上に家があり、沢山の人が水の上で生活をしています。水の上に学校があり、子どもたちはボートで通います。教会や商店、レストランも水の上。仕事は漁業が主で、魚をとって市場に売りに行きます。軒先にはハンモック。自転車に載るようにボートに載っていて、ボートは好きな色に塗られカスタムされています。

その場所の空気、匂い、気温、人々の熱気のようなものに直に触れた時の、ガツンと頭を打たれるような感じはその場所でしか体験できません。自分の価値観を無理やり広げるには旅が一番かもしれません。準備が大変でつい億劫になってしまうのですが、未知の養分を求めてどんどん根を張らなければなと、カンボジアの暑さを思い出しながら、思いました。

_murata

桐生産地の旅

2016.03.21

先日、群馬県桐生市に行ってきました。桐生は東の西陣と呼ばれ、シルクの織物の産地で有名になった産地です。シルクを使った贅沢な「ハレ着」を作ってきた産地なので、高単価の織物が多く、今でも世界の名だたるブランドの生地を作っている産地でもあります。

街にはとても感度の良い老舗の有名セレクトショップもあります。ここまでエッジの効いた服を街の人が買っていくもなのかと尋ねたところ、店員さんも地元出身でいわく「実際は街のお客さんがほとんど。祖母や父の代でも大事なここ一番の行事ごとでは、洒落て出ることが多い、街にはそういうDNAが脈々と受け継がれているのでは」と。繊維産地の中では東京からの距離も近く、デザイナーや、文化人が昔から出入りしていた事も関係しているかもしれません。

写真は、ニードルパンチと呼ばれ生地と生地を張り合わせる特殊な機械を持っている工場にお邪魔したところ。すぐに実験できるようにかわいい端切れがたくさん準備されていて、体験をさせてもらったところ(かなりポップな仕上がりに…笑)。思いついたらすぐにプロトタイプが作れる環境が素晴らしい。この後、刺繍やさんにもお邪魔したのですが、そこでも、東京から来たデザイナーが一日ショールームで籠ってアイデアを練り、すぐに実験。というようなものづくりが実際にされているとのことでした。

このような、アイデアと実践の距離が近いことは新しいものを生み出すためにとても重要だと思います。桐生は東京から近いことでそれがおそらく昔から、ごく自然に行われていたのではないかなと想像できました。きっとその風土や職人さんの気質もデザイナーにとっても心地よいのだと思います。近年クリエーターの移住者も増えていて、今後がとても楽しみな産地の一つです。