hatsutoki books vol.16 [THE NEW WORLD]

2016.12.11

今日紹介するのは、ソール・スタインバーグの[THE NEW WORLD]というイラストレーション集。雑誌[The New Yorker]のために描かれた、少しシニカルでユーモアのある作品が収められています。

スタインバーグは、ルーマニアに生まれたユダヤ系の家庭で生まれ育ちましたが、ヨーロッパに住んだ20代、ファシスト政権下の勢力から逃れるために渡米しました。風刺的な要素を孕んだ作品を見ると、異国の土地で住む違和感を感じ続けていた彼の人生があるからこそ、描けていたんだとあらためて気づきます。

たとえば、他の場所に引っ越したり、職場を変えたり、時には旅行をして取り巻く環境が変化すると、自分が「よそ者」なんだとふと感じます。その距離は一見寂しくも感じそうですが、一方で「みんなにとっての当たり前」が当たり前ではなく感じることができる、新鮮な気持ちを味わえる機会にもなり得ることがあります。

そう考えると、少し住み慣れていないところに身を置くというのは、ものづくりをするときにいい働きを及ぼすのかもしれません。どんな日常でも新鮮に捉えることができれば、世界がどんどん広がりそうです。

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