
播州織ができるまで⑩ -製織について-
2016.10.03
織物が出来上がるまでの工程を追ったこのシリーズも10回目。ようやく、織りの工程までたどり着きました。
一口に織物といっても、いろいろな素材があるように織り方も様々。織りたい生地によって、実は機械も違います。生地を織る工場を、産地では機屋(ハタヤ)さんと呼んでいますが、機屋さんによって持っている機械も変わってきます。染めや加工と大きく違うのは、家業として営んでいるところが多いということ。ほとんどが家族数人で、何台もの織機を一斉に動かしています。
機械で織る、ということは手織りなどと比べて量産もできてスピードも早く、便利であるように聞こえますが、それはまったく違いました。機屋の中は、ある程度の湿気がなければ糸が切れやすくなってしまうため、夏は時に40度を越える室内で作業をしなければなりません。それでも、手織りでは到底扱えないような細い糸は、ちょっとしたはずみで切れてしまい、職人さんはその度に一本ずつ手で結び直していきます。
織機自体のメンテナンスも、職人さんの日常の仕事。調子が悪ければ機械を一旦停止させ、部品を交換する必要があれば、昔動いていた古い織機から部品を解体して使いまわす。塵や糸くずが織り目に飛び込まないよう、常に機械は綺麗に保つ必要があります。広い工場、大きな機械を目の当たりにするとそれがいかに大変なことか実感します。