
播州織について②-播州織産地の特徴-
2016.03.20
播州織について①では歴史や大まかな織物の特徴、街の風土について書きました。
http://hatsutoki.com/blog/149/about_banshu-ori_1/
②では、もう少し詳しく踏み込んで、播州織「産地」の特徴や構造、産地の特性(長所・短所)ついて説明しようと思います。
播州織産地の一番大きな特徴は、工程ごとに細かく分業性になっている、と言うことだと思います。一つの織物が出来上がるまでにはすごく沢山の工程があり、その工程の殆どが西脇では分業になっているのです。例えば、染色・整経(せいけい:タテ糸を準備する工程)・織り・加工(生地の風合い出し/仕上げ)、が大きな工程ですが、この間にも細かい工程が沢山あります。ちなみに島田製織のように工場を持たない会社は「産元(さんもと)」といいます。産元の仕事は少し分かり難いのですが、産地を一つの大きな工場に見立てた場合の「企画・営業・生産管理」です。生地を企画・デザインして東京や大阪から生地のオーダーを取ってくる、そして産地の工程を使い生地を作り収めるところまでが産元の仕事です。
ここまで細かい分業化が進んだのは、何万、何十万メートルもの大きなオーダーへの生産を効率よく生産するために最適化されたシステムを求めたためでした。ですので、西脇の特性の一つとして、大きなロットに向けた体制となっている、ということが挙げられます。生産量が増えれば単価が下げれる、少なければ単価が跳ね上がるのです。これは長所でもあり、短所でもあるのです。
もう一つ播州織産地の特徴としては、「綿を先染めで織ることに特化している」ということが挙げられます。これはどの産地にも言えることなのですが、綿を先染めで織らせたら世界屈指のクオリティを出せると思いますが、ウール100%や麻100%、シルク100%などの織物は、基本的に他の産地で生産した方が良いものになると思います。なぜなら播州織産地の機械や設備は綿を織ることに特化しているからです。機械の調整を綿織物を織るためにチューニングしているのです。そして機械だけでなくそこで働く人の技術、知識も綿に特化しています。(例外として、綿×シルクの織物や綿×ウールの織物は作れます。その場合もタテ糸は綿でなければいけないという制約があります。織物の特性上、長ーく準備したタテ糸に対し、ヨコ糸を入れていくのですが、ヨコ糸は割りと簡単に変えられるのです。問題はタテ糸で、播州織産地では基本綿のタテ糸しか作れないので、シルク100%やウール100%は不可能なのです。他の産地、例えば名古屋(尾州)のウール産地では、ウールのタテ糸を作ることが一番得意な筈です。産地全体の機械も人もウールに特化しているのです。よって尾州で綿のシャツ地を探すべきではないのです。)写真は糸の染色見本です。このような染色の色見本が産地全体では50万色あると言われており、世界一と聞いたこともありますがやはり基本的に綿の色見本です。綿の色を探すなら西脇が一番良いと思いますが、ウールやシルクとなれば、やはりそちらに特化した産地で探すべきなのです。
③に続く
-日本製の技術がすごい、とよく耳にすると思いますが一体何がハイクオリティなのか?といったことを、実際に私達が普段播州産地で感じるた体験を例にしつつ、具体的にお伝えできればと思っています。-
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