
hatsutoki books vol.19 [GIRLS STANDING ON LAWNS]
2017.02.19
今回紹介するのは、MAIRA KALMANとDANIEL HANDLERによって生まれた[GIRLS STANDING ON LAWNS]。二人は、ヴィンテージの写真からインスピレーションを得て、それぞれの創作に落とし込みました。その写真は、一般の人によって撮影された、ごくふつうのポラロイド写真。本のタイトルの通り、共通しているのは「芝生の上に立つ女の子」だということ。
イスラエル生まれのイラストレーター・デザイナーであるKALMAN は、時に白黒で映された写真に色を与え、風を感じるようなタッチで彼女たちの姿を描きました。そこに童話作家であるHANDLERが被写体のバックグラウンドを想像して、写された女の子が話しているかのようなテキストを添えてあります。
とても個人的な写真を見ると、日々のささやかな一瞬こそが幸せだなあと感じます。今になると、私たちは当たり前のように写真を撮る習慣がありますが、なぜ撮ることを好むのでしょう。嬉しい瞬間、お祝いのひと時、楽しかった思い出、それを忘れたくないからでしょうか。でも、昔の自分の姿を見たり、もしくは全く関係ない人の写真を眺めるなんて、よくよく考えればとてもふしぎなことに感じます。私たちは記録して見返すことで、忘れやすい自分たちの記憶になにかを蘇らせるだけだなく、たとえ全然知らない風景にも何かを新たに見出したりしているのかもしれません。「記憶をとどめたい」「過去をのこしたい」というヒト特有の感情は、とても人間らしくて、おもしろくて、美しいなと思う一冊。