
播州の風景
2017.11.24
先日、多可町という西脇市のすぐ隣の町で、播州織の歴史を辿った写真展が行われていました。いつもお世話になっている機屋さんに教えていただいて向かった先は、のこぎり屋根の建物。かつて織物工場だった場所が会場となっていました。
播州は200年の歴史を誇る先染め織物の産地。その最盛期は、今から30年前の昭和62年頃。その時期まで、中学を卒業したばかりの「女工さん」と呼ばれる女学生が集団就職で西脇で働きにきていました。産地にいると、昔女工さんがいた時の話をご年配の方から聞くこともありますが、なかなかピンときませんでした。今は、どこの工場も男性の方が多くて、若い人も少ないからです。ここ数年は西脇市の取り組みによって、デザイナーが産地に移り住みやすくなりましたが、それでも、織物の現場ではまだまだ若い働き手が足りていないのが現状です。
だからこそ、若い女性が働いている様子を写真で見て、驚きました。そして、この人たちの仕事があってこそ、今の産地があるのだと深く実感できたのです。
[工場で綛を干している様子]
[製織の現場で働く様子]
[綛くりをしている様子]
[サイジング(経糸の糊つけ)の様子]
[整経(経糸を準備する工程)の様子]
あらゆる工程で、女工さんが働いていたのがわかります。聞くと、当時は数ヶ月に一度くらいしか休みもなく、ただただ働いていたとのこと。自分よりもはるかに若い時期に働きづめだったということも今だと到底想像できませんでしたが、写真によって、ふとそれが現実味を増しました。時代が移り変わって、ものの流れが変わり、働く人が変わり、働き方が変わり、作るものが変わる中で、この景色は次第に見られなくなりましたが、たしかに、この播州に刻まれた歴史を少しでも垣間見れたことは、とても新鮮に感じて、今自分たちができることは何か、あらためて見つめるきっかけになったように思えます。