
林与織物へ vol.2
2017.12.21
私たちが工場を訪れている間、つかの間通り雨が降りました。「雨のおかげで、織りやすくなった」。そう口にした林与さんの言葉で気づいたのは、機場に湿度を管理するための設備がないことでした。糸の状態は、その日の気温や湿度によって変化しやすいもの。綿織物の産地である播州では、ほとんどの機屋さんに湿度を調整するための設備がそなわっています。
播州の地では麻を緯糸として使うことはありますが、それでも綿より切れやすいと織り手さんは苦労されます。なので、その素材を湿度調整無しの環境で織っていることに驚きました。
黙々と糸をつなぎ、機械を調整する林与さん。この産地は、今では機屋さんは片手に数える程しか残っていないと話していました。そんな状況の中、ここの機屋さんでは、いまや生地にこだわるトップブランドや企業からオーダーを受け続けています。糸の仕入れから販売までをほとんどをお弟子さんと二人でこなしており、播州では分業化された工程がほぼ、この一件で行われていると言っても過言ではないことが分かりました。それに費やされた年月と努力は、聞かずとも想像をはるかに越えるものだろうと感じられます。
太番手から細い糸まで、どんな規格の変わった麻の生地も織り上げてきた工場。近況をうかがうと試作段階のプロジェクトがいくつも進んでいました。現状に満足せず、とことんものづくりを追求する。ないものや環境は自分で作る。その姿勢をこれまでもこれからも、ものすごい勢いで常になされていくんだと知ったとき、背筋が伸びる思いでした。
事務所には織り上げられた反物が沢山ありました。これは、hatsutokiのオンラインストアでも紹介している林与織物のキッチンリネンクロス。
実にいろんなサイズと色がありました。近日、サイズ違いもオンラインストアに追加予定です。ぜひチェックししてみてくださいね。