当たり前ではないこと

2018.06.28

hatsutokiのチームは、兵庫県外からそれぞれが集まって一緒に働いています。東京、神奈川、山口から……それぞれ色んな道を経て西脇に来ており、だからこそ感じるものというのも日々たしかにあるように思えます。

はじめの頃は「ふつうの平織りなのに、なんで難しいんだろう?」、「特別意匠的なデザインではないはずだけど、織りにくいのはなぜ……?」と、設計した生地について現場と相談しては返ってくる反応一つひとつに、驚きと戸惑いがありました。各工程の職人さんに会いに行き、不具合があれば直接聞きにいったりして、教えてもらうことでだんだんと少しずつ、これまでは知らなかった「作る」むずかしさを具体的に知れるようになってきました。(それでもまだまだ、ですが……。)

チェックやストライプのみならず、無地の織物でも播州で織られているものがたくさんあります。私たちの生活に実は身近にあるものが、安定した高い品質で作られ続けることを、関東にいるときは取るに足りない当たり前のもののように思っていました。しかし今は、どんな季節も、どんな気温でも毎回同じ色で染め上げることのむずかしさ、違う機械をもつ機屋さん同士で同じものを作るために注がれるコミュニケーションの大切さを西脇に来て、身に染みて感じます。縞模様だって、人の手で一本ずつ並べられているなんて、来るまで想像もできませんでした。

当たり前に思っていたものは、当たり前ではなかったんだ、ということをふとここ数日にあらためて思ったのでした。