
錦秋
2018.11.16
赤や黄色、まだ染まりきらない緑色など多彩に色づく風景を、私たちは幼い頃から見慣れていますが、実は日本ならではの光景なのだそうです。落葉する広葉樹が海外の国々の平均的な数の約二倍も種類があることから、木によってちがった色にそれぞれ変化して、美しいすがたを見せてくれるのだといいます。時間を遡ると、氷河期のさなかでも日本は黒潮という暖流のおかげで木々が生き残ったのだそうで、その命が今まで連綿と受け継がれてきたからだ……と、ここまで書いて、想像をはるかに超えた時間軸に、少し気が遠くなる心地です。私たちの身の回りにある自然の景色は、何千年も、何百万年も昔から変わっていないなんて、当たり前のようですごく不思議に感じますね。
ところで、錦秋ということばは「錦織」という織物の華麗で雅な表情をたとえて、秋の景色をたたえたもの。錦織は京都の西陣織が有名ですが、刺繍や後染めの技法を使わずに、多彩な先染めの絹糸や金銀糸を用いて、自然をモチーフにした文様を織りだした絹織物のことを指します。昔は日本に限らず、部族や階級によって装いを区別し、それぞれの錦織の文様があったのだそうです。多様な価値観や、階級などがなくなりつつある世界で過ごす現代の私たちですが、今もなおうつくしい服や、うつくしいものには本能的に惹かれてしまいます。装飾への永遠のあこがれのようなものが、結局は、その飾りのインスピレーションとなる自然へのあこがれのようなものに繋がるのかしらと、ふと思ってしまいました。
hatsutokiが拠点とする兵庫県西脇市も、自然に囲まれたうつくしいところです。今季のテキスタイルは、秋から咲く金木犀がモチーフとなっています。
他にも、紅葉を思い出させてくれそうな、あたたかいカラーのアイテムが登場しています。
日に日に、寒くなっていきますね。あたたかくして、お過ごしください。