播州織ができるまで②-糸について-

2016.06.21

今回は、染める「糸」について。前回お話ししたように、hatsutokiの生地が生まれる播州は先染めの手法が特徴のひとつです。染色時の糸の状態は3つに分けることができ、それぞれ綛(かせ)、チーズ、ビームと呼ばれています。上の写真は、ナチュラル・チーズの固まりのような形をしていることから「チーズ」といわれています。

播州では糸を紡績会社から調達して、織物を作っています。仕入れた原糸も同じようなロール状なのですが、染色するときのチーズとはちょっとした違いがあります。ひとつは芯。原糸の芯は紙製や木製のものですが、染色のために巻き直されたチーズは、芯がステンレス製で表面に多数の穴が空いていたり、メッシュ状になっていたりします。これは、ロールの内側から染液に染み込ませるためです。(写真の右側は染色のために巻かれたもので、左は染色後の糸が紙製の芯に巻き直されたものです。)

もうひとつの違いは、チーズの上部分。染色のためのチーズは、少し肩が落ちたように丸みを帯びた円柱になっています。これは糸の重なり具合によって染めむらを生じさせないためで、このかたちにする工程を「肩おとし」と呼んでいます。前回の写真は、チーズが今まさに染色の釜へ入っていくようす。この手法で、まとまった量の糸を染め上げることができるのです。