2020.10.23

いま、綿の収穫がピークを迎える季節です。家のすぐ近くの畑では、白、茶色、緑の綿を育てていて、乾燥して弾けた綿はとてもフワフワでかわいらしい。綿は食べられないし、布にして服にするのにも、あまりにも手がかかります。現代では基本的に大規模農園であったり、途上国の産業としてじゃないと成り立たないのが綿の産業です。

日本で綿の栽培は生産性がない、合理的じゃない、経済的じゃないと、頭で考えたらまずそういう結論に達すると思いますが、でも実はそういうものほど楽しい気がしてしまうし、ここまで経済合理性に浸かっていない物事を探す方が難しかったりします。

今年は初めて同じ畑で花やススキやハーブなど庭の植物、染料になる植物などを育てました。更に昔から高級な生地の起毛に使われるチーゼルと呼ばれる植物も、大きなアザミの様な実の植物です。畑が華やかになり、畑に行く楽しみが増え余計に愛着がわきました。次は野菜や果実も一緒に育てたいなぁと来年の作付けの想像を膨らませています。

野良仕事をしたらお腹が減るし、よく眠れます。季節の変化を身体で感じるし、山や空、土、水、草木は発見やアイデアに溢れているのです。例えば同じ白でも品種によって、生成りが強いものやより白いものがあったり。和綿は下向きに咲き、洋綿は上向きに咲くとか。土の養分によって、薄い葉の色、濃い葉の色がある、とか。それはとても細やかなことで、畑に行くとこっそり教えてくれる秘密のようなこと。そういう美しさを布や服を通して伝えられたらと思っています。

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