そのまま

2020.12.21

ありのままの自分でいることは、簡単なようでいて難しい。強い意志がいると思う。知識や常識や世間の目に囚われて、美しいと思ったことを美しいと言うことは、わたしたちの社会の中では簡単ではないような気がします。けれど幸い、わたしたちが自分自身の意志や考えを示す方法は言葉の他にもたくさんあるようです。

仕事を通して、自分が良いと思った物事で誰かの役に立つことができるし、料理を通して生きることへの考え方を伝えることができるかもしれない。また着る服によって、考え方を表明することも出来るかもしれません。選挙を通して世の中を変える実感はなかなか持てないかもしれないけれど、意志を持つことで自分が”世の中”に巻き取られてしまわないことはできる筈だと思っています。

今年は静かに過ごす時間が増えたことで、物や生活の本質的な部分をより考えるきっかけとなりました。そして僕は布や服に、物が持つ物質的な価値以外にも、着る人の意志や、思いや、考えを支えてくれる、自分が自分でいて良いのだと思えるような”力”を込めたいと思いました。美しいと思ったことを潔く美しいと言う、そんな力の支えに少しでも役にたてたらと思います。

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シーズンのビジュアルの小話。今季のシーズンのビジュアルを写真家の山崎萌子さんにお願いしました。撮影期間中、山﨑さんが生活の中で実際に服を着用しながらセルフポートレートによって撮影して頂きました。そのまま、ありのまま、をテーマに「素」であることの美しさを模索。コロナ渦での新しい試みでしたが、とても美しい写真を撮って頂きました。全3回のシリーズです。是非御覧ください。

2020 Autumn Winter Season visual
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