
ひずみに風を吹き込む
2021.12.13
人の価値観の変化は、時代の変化の速度に対してゆっくりなんだなということに最近気が付きました。
例えば、働き方。特に日本人のハードに働くことが美徳のような価値観は、時代が変わるにつれて変わって来ています。随分前から、何かがおかしいぞと皆、違和感を感じて少し窮屈な気持ちを持ちながらも人の価値観の変化はとてもゆっくりです。
僕がデザインで大切にしたいのは、時代の変化の速度と人の価値観の変化の速度の違いによって生まれる「ひずみ」をなくす様なことなんだなと思いました。
20世紀初頭のポール・ポワレというファッションデザイナーは、コルセットから女性を解放した、と言われています。ウエストを締め付けるコルセットを取り払い、ストンとしたリラックス感のあるシルエットをデザインし、その名前を歴史に残しました。
僕は、天然素材の醸し出す素朴でみずみずしい美しさが、どこか懐かしい記憶と繋がったり、触れた瞬間の心地よさが、私達が自然とともにあるという根源的な豊かさのようなものを感じさせてくれると考えています。布や服のデザインを通して今の暮らしの中で生まれたすこし窮屈なひずみ、その隙間に自由な風を吹き込めたら嬉しいなと思っています。
_murata
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*このコラムは過去のニュースレターに記載したひとことコラムを元にしています。
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