
播州織ができるまで⑤ -サイジングについて-
2016.07.15
前回に引き続き、織物の経糸を準備する作業について。今回は[サイジング]という工程をお話しします。
サイジングは経糸に糊を付けることで織りやすくする工程です。播州地方の先染織物では、一般的に経糸に糊をつけ、緯糸にはつけないことが多いです。それは、経糸が緯糸に比べ、織っている最中で受けるストレスが大きいことが関係しています。
実際に生地を織るとき、経糸はピンと張られた状態になります。さらに、経糸を上下に動かすことで緯糸を入れ織り上げていくとき、隣り合う経糸同士がこすれ合ってしまうのです。そのため経糸には糊を付けて、引っ張る力に耐えられるよう強度を補強したり、こすれによる毛羽立ちを防いだりする必要があるのです。
特殊な糸を扱うときを除き、大抵は何千本もの糸を一斉に糊付けします。上の写真はまさに、これからサイジングが行われる入口部分で、奥へと糸が送られているところ。
糊がついた状態の糸は、パリッとした触り心地。hatsutokiがよく使う100番単糸という極細の綿糸も糊の成分や濃度、糸の張り具合などが細かに調整されることで、ようやっと織れる状態になります。