播州織ができるまで⑦ -畦取りについて-

2016.07.28

今回は、畦取りについてのお話。経糸をビーム染色した場合、企画した柄通りに糸を並べ直す作業が必要となります。機械で行うこともできますが、柄の大きさや糸の色数が複雑なものは人の手によって、一本一本並べ替えられます。田畑の境界線を示す「畦」という言葉から、色ごとに区別して柄組みする工程のことを「畦取り」といいます。

うかがったのは、この道38年の職人さんの仕事場。そこには、巻かれたビームがずらりと並んでいました。朝から晩まで、糸をひたすら指ですくい続けているのだそうです。

デザインの指図書をもとに、職人さんは糸の並び順を自分で紙に書き出していきます。本数を書き、色鉛筆で区別した表は作業の際に張り出され、一本ずつ数えながら作業します。

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馴染みの機屋さん曰く、職人さんは一本たりとも狂いなく、いつも確実に柄を組んでくれるのだといいます。数え間違えていそうだと思えば、数千本もの糸を始めから順番に数え直すことは何度もあるのだそう。先染織物の産地で生まれるうつくしい模様の生地は、この気が遠くなるような作業があってこそ作られていました。