雑草

2019.10.17

草刈りをサボってしばらく放置していた家の庭に夕方に西日が差し込んで、満開の(?)ネコジャラシを黄金色に染めていました。美しい景色をみて、ふとネコジャラシの存在が気になりました。

知っているようで知らなかった「ネコジャラシ」。改めてへんな名前だなぁと思いつつ調べてみました。Wikipedia によると犬の尾に似ている事からエノコログサ(犬っころ草)と呼ばれたり呼び名は色々ある。植物としてはイネ科だそうで、粟とかなり近いものらしい。だから秋にこうべを垂れる様に実り、食べる事も出来る。アワ作と共に伝来し、縄文時代以前は自生していなかったらしい。

ネコジャラシは雑草だと思っていたが、雑草という言葉は面白い。ネコジャラシをここまで知ってしまうと、もはや雑草ではなくなってしまうのだから。ものごとは、見方や考え方ひとつで無価値なものにも、美しいものにもなる。出来るだけ美しいものが沢山ある世界に生きていたい。

 


 

秋らしくなり、新作の洋服も沢山入荷しています。こんな景色を日々感じながらテキスタイルをデザインして、その土地らしい、収穫物のような物作りが出来たらと思っています。是非そちらも覗いてみてください。

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軽やかなドレスコート

2019.10.06

軽やかでいて、トラディッショナルな印象を持つ素材、hatsutokiオリジナルのコットンウールのフランネル。女性らしいしなやかさと、ウール素材の力強さ。裏地の無い軽い仕立てでコートとワンピースの中間のようなデザイン。細いベルトを締めて着用します。薄手のハイネックセーターなどと合わせるコーディネートもおすすめです。バックルは質感の良い、無垢の真鍮金具を用てアクセントとしました。

高品質なニュージランド産ウール。カシミアに匹敵するほどの繊維の細さで肌触りも抜群。軽やかながらトラディッショナルな印象を受ける素材。生地の表面にはウールを、肌に触れる内側は心地よいコットンの面が出る様に着心地を考慮した設計としました。

コットンウールドレスコート(キャメル/ブラック)

クローゼットの記憶のドレス

2019.10.01

ふわりと優しいウールと、光沢と節が素朴なリネンを交織した素材。暖かさと、節の凹凸、素朴さと上品のある生地。祖母のクローゼットの中に仕舞われていたような、そんな記憶を遡り”grandma”と名付けました。ウールには縮み防止の加工を掛けていて、生地の状態でも一度水に通しているので、家庭で簡単に洗濯できる点にもこだわりました。雨の多い秋の装いにも活躍してくれそうです。

普段にも、お出かけの装いにも使え、毎日使えるという意味でデイドレスと名付けました。ベルトを締めるとよそ行きに。外せばストンとまっすぐでゆったりとリラックス感のあるシルエットに。生地の内側には綿の糸が出るように設計し、肌に触れる部分も気持ち良い。

ウールリネンデイドレス

 

 

記憶

2019.10.01

記憶は、色や、匂いや、触感と結びついてる。それに触れた途端にふと遠い昔の埋もれていた景色が蘇る。

夕焼けの空の色や、紅葉の山、海の青。雨の匂い、畳の匂い、金木犀の匂い。結露したグラスの冷たさ、霜柱を踏んだ感触、木綿の布団の心地よさ。

そういった、記憶の断片をテキスタイルに込めて、誰かの記憶の中に入り込み、なにか大切な感情を思い出すようなものを作って行きたい。

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誰しもが記憶の中にあるような景色を素材に落とし込んで服を作れたら、そのものを手にしたとき、ふと懐かしい感情や優しい気持ちが湧いてくる。ものも大切に使おうと思える。

秋冬のテキスタイルにも幾つかそんな思いで作った代表的な素材があります。”grandma“や”pottery tiles“、”cosmos“など、記事の色、柄、質感。糸の表情と景色を重ねてデザインしました。リンク先のオンラインページで紹介していますので是非ページも覗いて見てください。

「料理ともてなし」のキッチンウェア

2019.09.28

hatsutokiからこの秋はじめてキッチンウェアが登場しました。「料理をしてそのままもてなす」そういった生活の場面をイメージして制作したワンピースは割烹着のエッセンスも加え後ろから手を通して着る形に。ウエストのサッシュベルトで締めて着用します。

私達はこれをポップオーバーと名付けました。ポップオーバーは1940年代以降にアメリカで流行したワンピースで家事から、カジュアルなパーティーまで様々なシーンで着用することを想定した綿素材のワンピースでした。このポップオーバーを今の生活のシーンをイメージしつつ、日本的なエッセンスも加え、デザインしました。

生地には、本来業務用のユニフォームなどに使われることが多い、汚れ防止の加工を施し気兼ねなく使えるようにしました。また洗濯したそのままでも美しい皺がでるように生地の設計からしています。エプロンや、買い物バッグも同素材で制作しました。

キッチンウェア各種

釉薬のような”pottery tiles”

2019.09.28

どこか、昔に見たような記憶の中にある陶製のタイル。懐かしい空気を思い出しながらイメージを膨らませました。色は釉薬の様な奥行きのある白、そしてベージュの配色に。 ”pottery tiles”と名付けたテキスタイルです。

コットン100%の上質なタッチと自然な洗い感を重視して設計。洗いざらしでも美しく、使い込んでも腰を失わず、長く着用できる事を意識した生地設計にしました。またタテ、ヨコの糸の密度を調整することで柄のラインがシャープにくっきりと表れる設計にしています。

写真のブラウスはバイヤスカット(斜めの裁断)で仕立てました。生地はバイヤスで裁断することで、柔らかいカーブやドレープが出るという特徴があります。首周りに控えめなリボンを付けたような衿のディテールや、シャープな脇のカットなど、細部に拘りを散りばめて品のあるブラウスとなりました。

タイルチェックバイヤスブラウス(ベージュ)
タイルチェックバイヤスブラウス(ホワイト)

立秋

2019.08.18

カレンダーを見るともう立秋とあり、立秋を過ぎるとひぐらしが鳴き始め、夜は仄かに涼しくなる、と書き添えられている。本当にその通りだと先人の観察の細やかさに感心します。

空には秋の雲が出始める、という情報もありましたが、それはなかなか上級者でないと難しく私にはまだ見分けることができずにいます。しかし目や、耳、鼻、肌で感じることが出来る”何か”は、秋の訪れを間違いなく察知しています。言葉には出来ない、移り変わりの気配を楽しんでいます。

 


少しづつ秋物が入荷してきています。ぜひオンラインストアも覗いて見てください。
お盆の休み明けからは、少しづつ新作も登場いたします。
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イベント情報

技術と心

2019.07.03

少し前に、私達にしか出来ないものづくりとは何なのかという話になりました(WEBメディアの取材の中での話だったと思います)。ものづくりにおいて、絶対に他では出来ないと言い切ってしまうのは、しばしば乱暴だなと思うときがあって、なかなか難しい問題です。西脇の技術は高く、確かに簡単には真似できないこともあるかと思いますが、絶対に他で出来ないか?と言ったらわかりません。

このような話が、技術の事だけに偏ってしまうのは良くない傾向です。ものを生み出す、ある人の仕事は技術と心(精神、その仕事に取り組むためのモチベーション)からなっています。どちらか一つが欠けてしまっては本当に世の中にとって必要なもの、人の役にたつものは生まれません。hatsutokiのものづくりは、この土地の空気や文化、精神と技術が一番良い状態で組み合わさったものを生み出したいと考えています。

西脇の人々の布づくりにおいての精神は、産地の成り立ちや、この地域の風土とも深くつながっているので、他の産地や、海外のそれとはやはり違うこの土地独特のものであるはずです。それは「クオリティ」に関しての考え方であったり、「経済性」と「ものづくり」のバランスのとり方であったり。

私達は、時代の中の価値観の変化を感じ取り、技術と心のあるべき姿を探りながら、領域を広げながら、押したり引いたり伸ばしたり、手探りですが地道に、ものづくりのあり方を模索できればと考えています。

 

 

こぼれ落ちる光

2019.05.21

木陰を風が吹き抜け、見上げると、重なり合った枝葉が揺れ、隙間から空が覗く。

初夏。若く力の有り余った日の光は溢れぽろぽろと空間に線を描きながらこぼれ落ちる。

地面に到達すると光と影が、揺れては重なる映像美のような光景が映し出される。

新鮮な緑の葉がこすれる音と鳥の鳴き声だけが聞こえる空間の記憶。

 


 
この記憶がレンズを通してフィルムに光が焼き付くのと同時に記憶に焼き付いたものなのか、もっと以前の、子供の頃の記憶が掘り返されたものなのか。頭の中にあったこぼれ落ちる光のイメージを元に木漏れ日の生地を描きました。
この写真は丁度一年ほど前に、北海道で撮ったものだったか。フィルムなので正確な日はわからなくなってしまったのだけど、白樺が写っているところを見ると、西脇の森ではなさそうです。

こんな空間に寝転がって、何時間でも過ごしていたい。ウェアは肩肘はらず、リラックスしたものに。シワが付いても、多少汚れても平気で洗える。そんなデザインにしました。

 

 


[木漏れ日 キャミソール] ¥16,000+tax
 


[木漏れ日 フレンチスリーブシャツ] ¥24,000+tax

 


[木漏れ日 ライトパンツ] ¥27,000+tax

 

2019.05.05

ひやりとした空気の中に、生温い風がほのかに混ざり、夏の気配を感じる。

紺色の空に、絵の具が滲む様に緋色や薄い桃色が混ざり、その面積が段々と広がる。混ざり方は、その時、その瞬間だけの色。

目を奪う様な朝焼けに、思いがけず立ち会うことはあっても、それをタイミングよく記録する事は中々出来ない。車から飛び降りて助手席に置いていた古いフィルムカメラで数枚撮影。1、2分の間くらいだろうか。次の瞬間にはもう、色の絶妙な調和は崩れていた。