bloom

2021.05.16

私たちの暮らしや習慣がここ一年間で大きく変わりました。そういった中で花は何も変わらずに同じ場所で同じ季節に咲き、木々は新芽を芽吹く。当たり前に、なにもなかったかのように。

春夏の制作のテーマは”bloom”でした、今までに撮りためていたさまざまな季節、場所の花々の写真を見返しながら、想像を膨らませました。世の中が変わっても色褪せず、変わらずに大切にされるようなものになればと思いながらデザインしました。

花びらのような繊細な生地のタッチを目指した[petal]のシリーズ。細かなパターンで編まれた[bloom]ニット。さらに草木の染料で染めた奄美大島の泥染、徳島の蓼藍(タデアイ)の染料から作られた本藍染などもも夏に登場します。綿や麻を中心に、原料、糸、染め、織のそれぞれの工程で吟味を重ねて制作したコレクションです。

予定していたイベントが中止になってしまったり、まだまだ先が見えない状況です。hatsutokiではオンラインでもなるべく実際の店舗のように安心して、ご購入いただけるように、システムを随時改善しています。生地に触ってみたい、サイズが気になる、着用の写真を送ってほしい、など是非お問い合わせください。スワッチをお送りしたり、追加の着用写真をお送りしたり、できる限り一人一人対応させていただきたいと思っています。

⇒お問い合わせはこちらまで

そのまま

2020.12.21

ありのままの自分でいることは、簡単なようでいて難しい。強い意志がいると思う。知識や常識や世間の目に囚われて、美しいと思ったことを美しいと言うことは、わたしたちの社会の中では簡単ではないような気がします。けれど幸い、わたしたちが自分自身の意志や考えを示す方法は言葉の他にもたくさんあるようです。

仕事を通して、自分が良いと思った物事で誰かの役に立つことができるし、料理を通して生きることへの考え方を伝えることができるかもしれない。また着る服によって、考え方を表明することも出来るかもしれません。選挙を通して世の中を変える実感はなかなか持てないかもしれないけれど、意志を持つことで自分が”世の中”に巻き取られてしまわないことはできる筈だと思っています。

今年は静かに過ごす時間が増えたことで、物や生活の本質的な部分をより考えるきっかけとなりました。そして僕は布や服に、物が持つ物質的な価値以外にも、着る人の意志や、思いや、考えを支えてくれる、自分が自分でいて良いのだと思えるような”力”を込めたいと思いました。美しいと思ったことを潔く美しいと言う、そんな力の支えに少しでも役にたてたらと思います。

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シーズンのビジュアルの小話。今季のシーズンのビジュアルを写真家の山崎萌子さんにお願いしました。撮影期間中、山﨑さんが生活の中で実際に服を着用しながらセルフポートレートによって撮影して頂きました。そのまま、ありのまま、をテーマに「素」であることの美しさを模索。コロナ渦での新しい試みでしたが、とても美しい写真を撮って頂きました。全3回のシリーズです。是非御覧ください。

2020 Autumn Winter Season visual
→vol.01
vol.02
vol.02

村田

2020.10.23

いま、綿の収穫がピークを迎える季節です。家のすぐ近くの畑では、白、茶色、緑の綿を育てていて、乾燥して弾けた綿はとてもフワフワでかわいらしい。綿は食べられないし、布にして服にするのにも、あまりにも手がかかります。現代では基本的に大規模農園であったり、途上国の産業としてじゃないと成り立たないのが綿の産業です。

日本で綿の栽培は生産性がない、合理的じゃない、経済的じゃないと、頭で考えたらまずそういう結論に達すると思いますが、でも実はそういうものほど楽しい気がしてしまうし、ここまで経済合理性に浸かっていない物事を探す方が難しかったりします。

今年は初めて同じ畑で花やススキやハーブなど庭の植物、染料になる植物などを育てました。更に昔から高級な生地の起毛に使われるチーゼルと呼ばれる植物も、大きなアザミの様な実の植物です。畑が華やかになり、畑に行く楽しみが増え余計に愛着がわきました。次は野菜や果実も一緒に育てたいなぁと来年の作付けの想像を膨らませています。

野良仕事をしたらお腹が減るし、よく眠れます。季節の変化を身体で感じるし、山や空、土、水、草木は発見やアイデアに溢れているのです。例えば同じ白でも品種によって、生成りが強いものやより白いものがあったり。和綿は下向きに咲き、洋綿は上向きに咲くとか。土の養分によって、薄い葉の色、濃い葉の色がある、とか。それはとても細やかなことで、畑に行くとこっそり教えてくれる秘密のようなこと。そういう美しさを布や服を通して伝えられたらと思っています。

_murata

イチジク

2020.10.12

イチジクの実が裏庭になり始めると、秋の心地よい日差しと甘い匂いに包まれて、なんとも幸せな気持ちになる。良く熟れた実のほとんどは鳥に食べられ、見つからずに残った分け前を僕は少しだけいただく。サラダに入れたり、ジャムにしたり。

柿やイチジクが実をつける様子はとても力強い。特別肥料を与えたり、何か手入れをするわけでも無いのだけど、毎年たくさんの実を付ける。採りきれなかった実や葉やが地面に落ちて循環していくのだろう。その土地がもともと持っている力と、自ら循環を生み出す仕組みで毎年実をつける。

そんな姿を見ていたら、僕らのものづくりもそう有りたいなと思うようになった。その土地が持つ文化、風土、人間らしさから、「自然と実がなるように」生まれるもの。それは素朴な甘さの果実で、誰かの生活の幸せの一部であり、また次の循環につながる種でもある。そんな果実を実らせたいとおもう。

_murata

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テキスタイルの新作で、フィグブラウン、という色を作った。フィグはイチジクのことで、淡いブラウンにピンクが混じり合った色です。
秋の庭の景色や甘い香りがふわりと感じられる様な、そんなイメージのテキスタイルです。
→こちらも是非御覧ください[little garden シリーズ]

夏の風

2020.06.04

青い空に入道雲
若々しい緑の森を
吹き抜ける風

しんとした夜
深い紺色の空の下
遠くの街の音を運ぶ
夏の夜風

風は運ぶ
高気圧から低気圧へ
季節と、匂いを
人が生まれる遙か前から

 


暑い夏、青空に白い雲と、笹の葉を揺らす風の心地よさ。目を瞑ってそんな瞬間を思い出しながら描いたのが”summer wind”の生地でした。

オイルパステルで、サッ、サッ、サッ、と一筆書きで描いています。勢いよく描くことで、風の流れと潔さを表現したかったからです。

また大きな柄は、それだけで力強く、私達を楽しませてくれます。夏の暑い日にも心地よく使っていただける様な、サラリとした素材感を意識したストール、傘は防水加工とUVカットを施して晴雨兼用に展開しています。是非、御覧くださいませ。

summer wind シリーズ

生姜色の世界

2020.04.18

砂埃のまう中を
蒸し返る暑さの中を
草原に地雷があることを知りながら
たくましく生きるあなたの世界

毎晩星はこぼれ落ち、
毎日夕日は空を染め、
石の像は何百年もそこで
じっと人々を見守っている

生姜色の世界
あなたが大人になって
おばあさんになっても
美しくありますように

 

 

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もう5年ほど前だったか、これはカンボジアの田舎町を訪れた時の写真です。乾いた砂の色が、脳裏に焼きついていて、「旅」の想像を膨らませた時に、一番最初に浮かんだ色がこの生姜色でした。たくましく生きる子供達の笑顔もとても印象に残っていました。
記憶の中の旅の色、ジンジャーカラーは今季のコレクションのシャツやストール、ワンピースなど様々なところに登場しています。
色から感じる、自由な風を、あなたの旅の記憶を、またいつか旅に出ることができる日を願いながら、思い出していただけたら嬉しいです。

 

–ジンジャーカラー展開アイテム–

traveller ユニセックスシャツ 

traveller ノースリーブシャツ

w-face ストール

twill キモノスリーブトップス

twill ワンピース

砂浜の銀河

2020.04.08

“地球上の全ての砂粒より
宇宙の星の数の方が多い”

ぼくはなんて小さな世界に生きているのだろうと思った

でも、ぼくは砂粒と星の違いについて説明できない

貝と石ころが風と波の法則で浜辺に銀河を作る

でも、夜空の銀河との違いについても説明できない

 

大切なことは説明できない

朝の海岸を歩く穏やかな気持ちや

流れ星を待つ寒い時間も

手料理のおいしさや

庭で見つけた小さな野花の美しさも

 

 

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sandyと名付けたテキスタイルは、乾いた砂浜に寝転がった時の、肌に触れるザラッとした質感。浜辺に吹き抜ける、潮風の爽やかさ。そんな瞬間をテクスチャーの表現に込めました。

 

ボトムはユニセックスサイズ。羽織のドレスコートはワンピースの様に軽やかに仕立てました。
→sandyシリーズはこちらから

2020.03.28

わたしは今日、旅に出ます
飛行機にのって、船にのって

知らない世界を見てきます
食べたことの無い物を食べてきます
会ったことのない人と出会い
故郷のことについて話します

切符の買い方さえわからないし
クロワッサンの美味しさも知らない
崩れた遺跡のわけも
悲しい歴史もわたしは知らない

開かれた心と目と耳と鼻と
身体全部で旅をして
少し大人になって
帰ってこようと思います

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“Traveller”をテーマに制作した2020年春夏のシーズンがスタートしています。旅でみた景色や、感じたインスピレーションを元に色柄やデザインを発想。テキスタイルから設計した心地いウェアが並びました。

とても大変な時ですが、気兼ねなく好きな服をきて出かけることができる日のために、心躍るような時間を少しでも皆様にお届けできればと願っています。

朝のタイムマシン

2020.02.02

キリキリとした冬の朝にやわらかい山の影
いつも見ている山がこんな形だったなんて知らなかった。
朝焼けの光に山も、川も、
街の家も車も全てが包み込まれて現れた、
影と、オレンジ色の世界。シンプルな。
100年前と変わらない。5分間のタイムスリップ。

夜があけて

2019.12.23

一年でもっとも長い夜があけて、
霜に当たる光とサザンカの花が美しい朝の庭。

夜が長いほど、夜明けの喜びは大きい。
冬が寒いほど、ほうれん草の葉は甘い。

世界のバランスはそうやって保たれているのかもしれない。
それなら長い夜をどうやって楽しもうか。
温かいスープでもつくろうかな。