蛍の季節

2016.06.07

5月の後半から、6月の前半梅雨に入るまで、西脇では蛍が毎年沢山見られるのです。写真も市内のとある水路の一つなのですが数年前に見つけた隠れ蛍スポットなのです。家から徒歩3分、地元の人がちらほら見に来るくらいなのでとても静かです。

言葉もなくただぼうっとしていつまでも見ていられます。自然に身を任せるような時間はとても心地よく、忙しい時でも心をフラットな状態に戻してくれます。この景色を見るだけで西脇に来てよかったと思えるほど美しい夏の景色の一つなのです。

_murata

hatsutoki books vol.2[women’s work]

2016.05.26

今回紹介するのは[women’s work -textile art from bauhaus-]。1900年代前半、ドイツの造形学校「バウハウス」にある織物工房で活躍した、女性のしごとについて書かれています。

当時のドイツは戦争で多くの兵士を失ったために、女性がしごとを見つけ、自活していく必然性がありました。そんな時代のなか、入学を申し出た女性の多くが、絵画をはじめとした芸術分野へ関心を寄せたにも関わらず、なんとそのほとんどは無条件に織物工房へ入る以外の選択肢を与えられなかったのだそうです。

今から約100年前、ドイツでは女性がすでに社会的な自立に向かっていたことにもたくましさを感じますが、織物以外に選ぶ余地のなかった彼女たちが、それでもなお燃え尽きることのない探究心で、織りのうつくしさとその可能性を追い求めた作品には目を見張ってしまいます。今より生きていく道が限られた時代でも、いいものを生み出していこうとする姿はひたむきで潔く、すてきだなと感じる一冊です。

hatsutoki books vol.1[暮らしの手帖]

2016.05.19

本を読むことは、よく旅に例えられることがありますよね。読書を通して考えが整ったり、新しい価値観に出会ったり。ものづくりのヒントになることもしばしばあります。hatsutokiのスタッフが影響を受けた、お気に入りの本を今日から少しずつ紹介していきたいと思います。

一冊目は、昭和35年5月に発行された[暮らしの手帖]。京都の古本市で見つけました。 今から50年以上も前に出されたものですが、料理のレシピ、生活の知恵、解決したい悩み事はふしぎと今も、ごく身近に感じます。

編集者が自ら、「そもそも」思うことをとことん考え抜く記事は、日々工夫を重ねていくことで、ゆたかさに出会えることを教えてくれました。『いったい、よいふきんとは、どんなものなのか』。それは日々のちょっとした物事に過ぎないですが、たしかに日常のなかに存在すること。ささいな一つひとつが自分の暮らしとなって、生き方になっているんだとふと思ってしまいました。

旅の話

2016.04.13

旅はいいですよね。異国では自分の中での普通が普通でなくなり、価値観がひっくり返るようなことが次々と起こります。新鮮な体験で脳がリフレッシュされる感覚がとても心地かったりします。ものを作るときに”当たり前”にとらわれてしまうと新しい物は作れません。多様な価値観を知ることは、デザインの幅を広げてくれます。「異国の地に行くことは根を伸ばす事である。」と誰かが言っていました。一度根を伸ばせばその土壌の栄養が、知らず知らずのうちに脈々と吸い上げられていて、枝が伸び幹が太くなります。そしてその栄養を取り入れた果実が実るのだと思います。

写真はカンボジア”トレンサップ湖”。水上の船の上に家があり、沢山の人が水の上で生活をしています。水の上に学校があり、子どもたちはボートで通います。教会や商店、レストランも水の上。仕事は漁業が主で、魚をとって市場に売りに行きます。軒先にはハンモック。自転車に載るようにボートに載っていて、ボートは好きな色に塗られカスタムされています。

その場所の空気、匂い、気温、人々の熱気のようなものに直に触れた時の、ガツンと頭を打たれるような感じはその場所でしか体験できません。自分の価値観を無理やり広げるには旅が一番かもしれません。準備が大変でつい億劫になってしまうのですが、未知の養分を求めてどんどん根を張らなければなと、カンボジアの暑さを思い出しながら、思いました。

_murata

桐生産地の旅

2016.03.21

先日、群馬県桐生市に行ってきました。桐生は東の西陣と呼ばれ、シルクの織物の産地で有名になった産地です。シルクを使った贅沢な「ハレ着」を作ってきた産地なので、高単価の織物が多く、今でも世界の名だたるブランドの生地を作っている産地でもあります。

街にはとても感度の良い老舗の有名セレクトショップもあります。ここまでエッジの効いた服を街の人が買っていくもなのかと尋ねたところ、店員さんも地元出身でいわく「実際は街のお客さんがほとんど。祖母や父の代でも大事なここ一番の行事ごとでは、洒落て出ることが多い、街にはそういうDNAが脈々と受け継がれているのでは」と。繊維産地の中では東京からの距離も近く、デザイナーや、文化人が昔から出入りしていた事も関係しているかもしれません。

写真は、ニードルパンチと呼ばれ生地と生地を張り合わせる特殊な機械を持っている工場にお邪魔したところ。すぐに実験できるようにかわいい端切れがたくさん準備されていて、体験をさせてもらったところ(かなりポップな仕上がりに…笑)。思いついたらすぐにプロトタイプが作れる環境が素晴らしい。この後、刺繍やさんにもお邪魔したのですが、そこでも、東京から来たデザイナーが一日ショールームで籠ってアイデアを練り、すぐに実験。というようなものづくりが実際にされているとのことでした。

このような、アイデアと実践の距離が近いことは新しいものを生み出すためにとても重要だと思います。桐生は東京から近いことでそれがおそらく昔から、ごく自然に行われていたのではないかなと想像できました。きっとその風土や職人さんの気質もデザイナーにとっても心地よいのだと思います。近年クリエーターの移住者も増えていて、今後がとても楽しみな産地の一つです。