hatsutoki books vol.7 [水の生きもの]

2016.07.11

ランバロス・ジャーの[水の生きもの]。インドに伝わる民俗絵画、ミティラー画をモチーフに作られた絵本。ランバロス・ジャーはガンジス川のほとりで生まれ育ち、水とその中に棲む生きものに魅せられるようになったのだといいます。

ミティラー画は、インド東部のビハール州で受け継がれてきたもので、もともとその描き手は女性でした。母親から娘へと、3千年に渡って伝えられてきたものなのだそうです。日照りや、長い雨期、洪水、地震、ヒマラヤの極寒の風。それらの自然の脅威に対して、作物の豊穰と家族の幸せを祈って、土壁や床に描かれ続けてきました。
 
一枚ずつ擦られた絵の色彩は鮮やかで、水の生きものが生き生きと目に映ります。背景となる水の描写も細やかでうつくしく、しずかに命が溢れている、海の中の独特な世界が描かれています。波紋のような模様や、海底に佇む水の流れ、海藻の揺らめきが一本一本の線によって表現され、日常で流れる時間の速度と少し違った時空間を感じられる作品です。

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