このシャツの生地・little gardenシリーズは、特に西脇の技術と知恵が詰まっていて、今回は特に生地の事を深く掘り下げて見ようと思います。
まず、シャツとして、しっかりとした芯をもたせつつ、でもワイシャツみたいにはならないように柔らかさも感じられるクオリティ。
タテ糸に120番双糸という比較的細い糸を2本撚り合わせたものを高密度に使っています。僕は双糸を使うときは、しゃんと、芯をもたせるとき、単糸を使うときはふわりと軽さを出すとき、と使い分けていてhatsutokiでは単糸のラインナップが定番ですが、今回のシャツは双糸をベースとしました。
次に細いラインで解像度の高い柄を作っていること。織物は縦横のグリッドで柄が表現されます。デジタル画像のピクセルに近いようなイメージなのですが、細い線を出すには、解像度を上げるつまり細い糸を使うえば良いということになります。
このチェックは種明かしをすると、実は柄の部分だけ一回り細い糸を使っています。もう少し突っ込んで話すと、タテ糸とヨコ糸の密度を近づけることで、縦横の柄が均等に現れる様にしています。
このあたりのノウハウは、長年アパレルさんと、生地を作り込んで来ているノウハウの積み重なりで、派手さはありませんが、播州織産地の得意とする分野の一つだと思います。
フィニッシュに生地の表面を、ほんの少しだけ毛羽立たせて、マットで控えめな反射にしています。
生地は、織り上げた後、最後に「加工」と呼ばれる工程を通ります。縮みを安定させたり、風合いを出したり、光沢を出したり、機能(撥水や、防臭などなど)を付加したり。加工によって、生地を完成させます。
この生地は、表面をほのかに毛羽立たせています。そうすることで、光沢がマットになり落ち着きます。そしてしゃりっとした感じがなくなり、振れたときのタッチもふわりとします。
シャツとして、どこか背筋が伸びるようなものであってほしい。でもワイシャツのようなシャリ感、光沢は消したかったので、双糸を使い芯を作りつつ、表面をふわりとさせました。
シルエットは、ボックス型。品のよい生地で、力の抜けたシャツにしています。サイズは4を着ています。ゆったりしたシルエットのLサイズ、というイメージで。3だとがジャストですが、ゆるく着るのが好きなので4を選びました。
色は、グレーとフィグブラウン。霧がかかったような、淡いトーンの配色。
グレイッシュなカラーは、どんな服にも合わせやすくて、着回しが効きます。
フィグブラウンも、ピンク味がかった一見個性的な色味でなのですが、彩度を落としているので、不思議とどんな色のボトムとも合います。そ
僕自身、基本どのボトムとどのシャツをあわせてもスタイリングが成り立つように服を持ちたいという手抜き派なので笑
の中でも特にブラウン系の暖色とは相性良さそうです。
[little garden] という生地の名前は、秋の庭の枯れ姿の美しい景色のインスピレーションから生まれたイメージです。霜が降りて朝日で白くキラキラと光る景色。乾いた草、枝の繊細なラインを柄のイメージに落とし込んでデザインしました。
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モデル身長 173cm
着用アイテム
*little garden ユニセックスシャツ(グレー)size4